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【そば職人、経営を学ぶ 第三回】顧客の選択肢

皆さんこんにちは、戦略デザインラボ中小企業診断士の岡本です。
今日は「顧客の選択肢」ですね。前回までで「ターゲット」をしっかり定めていかないといけませんよ、というお話をしました。今回は実際にこの2号店で「どんなお客様」がいて「どんなメニュー」を考えていかなければいけないのか? そして「どんなコミュニケーション」をとっていかなければいけないかを学んでいきましょう。

成功の原理原則を見つける

早速漫画に進みます。
少し前回のおさらいです。「ターゲットを見極める」というお話をしましたね。2号店と1号店の大きな違いは何なのか? と言いますと「立地」「客層」そして「客単価」でした。さらに「コンセプト」についてはまだ定まっていないため、2号店はなかなか上手くいかないということでしたね。
前回の最後に少し考えていただきましたが、漫画を読みながら解説をしていきます。

1号店が上手くいったのは、お昼のシニアの観光客の選択肢、さらに商店街の人々やタクシードライバーの選択肢にも入ったからです。よって「ここがたまたま上手くいったんだ」とじっちゃん。
その上手くいったお客様の願望、例えば「◯◯が食べたいな」とか「〇〇が飲みたいな」→「じゃぁここにしよう」というそういったニーズがたまたまマッチしたというだけなのです。

なのでこれを "成功事例" としてちゃんとやっていくには、やはりここから「原理原則」を見つけていかなければいけません。でないと「たまたま成功した」で終わってしまいます。
そのためこの2号店が1号店のように「いい店だったからまた来よう」というリピートに繋がっていないということなのです。

新規顧客よりも「既存顧客」つまりリピーターの方に来てもらう方がコストは安く済みます。
そうですよね? いちいち宣伝を打ち「なんとなく行ってみようかな」の新たなお客様を呼ぶよりも、リピーターで来ていただける方が圧倒的にコストは低いです。だからこそ「また来よう」というのが、このコンセプトに基づいたとてもいいお店だという位置づけになります。

ですのでこの2号店も、まず ”選択肢” に入れてもらう必要があります。
ここで洋介さんは「だから外装だったりチラシだったりにお金を使ってさぁ」と言っておりますが、そうではありません。

顧客ニーズに応える

ここで例え話が出てきてます。
「旬の鯛が手に入ったらどんな料理にするか?」とじっちゃんが聞いています。すると「刺身だな」と洋介さん。続けて「良い素材が入ったときは、シンプルな調理と味付けに尽きる」と答えています。まさにそうですね。

では逆に「仕入れがうまくいかなくなって、痩せた鯛だったらどうするか?」と。洋介さんの答えは「その時こそ料理人の腕の見せ所よ」と。つまり素材を美味しくするには限界があるから調味を中心に考えると。
身をほぐして団子や唐揚げにする。つまり「素材に合わせて料理する」ということですね。

この例え話をもとにじっちゃんは「この店も同じだ」と言っています。
立地が決まると人の通りが決まり客層が決まる。1号店はたまたまお客様のニーズ、つまり「こんな店があったら入りたいな」というニーズと、洋介さんの「こんな店がやりたいな」というのが、たまたま一致していただけなのですね。

対してこの2号店、「こんな店をやりたい」というこの洋介さんの思いと、お客様のニーズがマッチしていません。つまりここにミスマッチが生じているため "流行らない" ということなのです。

集客の見直し

では解説に進みながらちょっとここを詳しく説明していきます。
まずこの「集客をしても上手くいかない理由」というのも必ずあります。これをちゃんと知っておかないと、いくら広告を打ってもなかなかお客様に来ていただけません。

そこでお客様に「もっと知ってもらう前に見直すこと」ということで、二つの方法があります。
①「誰にどんな価値を提供しているか」
これをちゃんと考えていくと、改善の優先順位がはっきりします。つまり、何から手をつければいいかがはっきりします。
そしてコミュニケーションの質を高められる。つまり、誰にどんな価値を提供しているかを、ちゃんと自分の言葉で話せるようになると、当然お客様とのコミュニケーションも上手くいきますよね? だからこそ一つ目として「誰にどんな価値を提供するか?」というのをしっかりと見直してください。

②「バケツに穴は開いていないか」
つまり儲けがちゃんと出ている仕組みになっているかということです。そのために原価や費用をちゃんと制御していく。そして上手くいっているのか数字判断できる仕組みがあることが重要です。
例えば、今回広告を10万円かけて出して、お客様が何人来ましたか? と。それが分からずただ単に広告を打っても、無駄打ちになってしまいますよね?
ですので前回よりも集客が上手くいった、チラシの効果があったのならば、前回と今回を見極めてどこが上手くいったのかを分析していく。そういった仕組みが必要です。

お客様の選択肢に入るには

そして最後に「選択肢のいす取りゲームを制す」
今回の立地を思い出していただきたいのですが、回転ずしとファミレスが近隣にありましたよね? つまり、お客様を回転ずしやファミレスに取られてしまう可能性もあります。ですからこの2号店も選択肢に入らなければいけません。

夕食に外食へ行こう、じゃあどこに行こうかな? というときに、その選択肢のうちの1つに必ず入っていなければいけません。 "いくつかある店の中の1つ" これが最低限です。
そのさらに先へ進むと「あそこに行こう!」となります。つまりこの2号店「真田丸に行こう!」という、オンリーワンの選択肢になれば、もうお客様はかなりリピートで来ていただけます。

ここで重要なのが「コミュニケーション」。これはマーケティングの4P・4Cの中の「4C」であります。
コミュニケーションの質と量を高めていく必要があるのですが、その中で「質の高め方」「量の高め方」の二つの方法があります。

コミュニケーションの質と量

「質の高め方」
・商品の競合優位性を見直す・・・前回も少しやりましたが、 "競合優位" つまりいろんな選択肢があるライバル店の中で、当店だったらこういうメニューがありますよ、今あなたに必要なこういうメニューがありますよ、あなたが食べたいこんなメニューがありますよ、というのをしっかりと見直していく必要があります。
・ターゲットを狙い撃ちする・・・しっかりとターゲットが定まっていれば、そのターゲット、来て欲しいお客様に対して "コミュニケーション" を発信することができる。そして想いやストーリーを伝えられます。

今回はそば店ですので、そこまで想いやストーリーを伝えられることはできませんが、ただ1号店でやっているこだわりですとか、こういったお客様へのおもてなしを2号店でもやっていますという伝え方はできますよね。
だからこそあなたにとって、つまり私にとっての商品で、他では買えない、つまり他では食べられないメニューを考えていくということです。

「量の高め方」
・発信を習慣づける・・・これはよくあるのですが、SNSをやったからってすぐにお客様が来るわけではありません。そこでどんどんと更新を滞ってしまうことがありますが、それは良くありません。
・伸びている媒体にのっかる・・・Webだと結構お客様をはじめ色々な人が見ているサイトなどがありますが、そういったところに出していく。ただそれもコストとの兼ね合いですから、ちゃんと費用対効果が高いのかな? というのを見極めてやっていかないと、なかなか上手くいきません。
・口コミをお願いする・・・Googleの口コミがかなり評判いいですね。例えば私が知っているところですと、とあるエステ店。脱毛などやっているところなのですが、そこの口コミで5点が40件以上あるんですね。すごい数です。他の4点・3点はほとんど見当たりません。

これはヤラセでも何でもなくて、本当にお客様の口コミで5点を取っているのですが、このお店はもう本当に集客をしなくてもお客様が来ていただけるような仕組みになっています。こうなると集客にかけるコストをすごく抑えることができますね。
その分、お客様に何か還元することができる。だからこそ "リピーターをいかに獲得するか" というのが大事になります。そのために必要なのが「口コミ」なのです。

この口コミがあると新規のお客様も既存のお客様も来やすくなります。どこかで見たな聞いたな、検索したら良さそう...これを増やしていくということですね。

いかがでしたでしょうか? 今回は「ターゲット」でした。このターゲット=顧客をちゃんと見極めて、そのお客様の選択肢の中に入るということを、ちゃんと意識していくことが必要となります。

先程口コミの話もしましたが、この "口コミ" もお客様に「お願いします」と一言添えてみる。こういう人あまりいないんですよね。お客様の自主性に任せてしまいがちですが、それでは勿体ないです。
本当に満足してくれたお客様がいたら「ぜひ口コミをお願いしますね」と、何かそういったこちらからのお願いをしたとしても、そんなに無理はないかなと思います。当然、そこまで関係性のできてないお客様に対して、口コミをお願いすると、逆にちょっと不満に思われてしまうかもしれませんので、ちゃんと関係性を作ってから、口コミをお願いする、そうすると次のお客様に繋がりやすいですね。

次の講座でこの「顧客の選択肢に入るための方法」を詳しく解説していきます。
ではまた次の講座でお会いしましょう。

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