【そば職人、経営を学ぶ 第七回】粗利ミックス作戦

皆さんこんにちは、戦略デザインラボ中小企業診断士の岡本です。
さあ今日は「粗利ミックス作戦」。前回も少しお話しましたが、粗利益を高めるために、利益率の高いものと低いものを混ぜ合わせて「平均の粗利益率を高める」といった戦略を紹介しました。今回はその粗利ミックス戦略を中心にしつつも、三つ目の鉄則についても少しお話をしたいと思います。

商売の法則とは

早速進みましょう。
「三つ目は...」ということでじっちゃんが何か話したそうな雰囲気を出していますが、結局のところ「自分で見つけるんじゃな」と言ってごまかしております。これはなぜかというと...教えたら駄目なこともあるんですね。「商売を大きくするヒントは至る所にあるんだ」と言っています。

有名外食チェーンの創業者は、みんなが中毒的に食べたくなるものを出せば流行ると考えました。そこで世界の穀物や野菜の消費量のデータを調べ、一位のものをレシピに使うと決めたそうです。
実際にこういったデータに基づいた仕組みというものは非常に効果的です。ただし、やりすぎると非常に良くない結果につながりますので注意が必要です。
少し詐欺まがいになったり、中毒性を持たせて健康を損なうようなこともありますので、そこは "やりすぎ注意" ということですね。

「選ばれ続ける店には何かしら法則がある」とじっちゃん。「値段以上の価値を感じてもらうための工夫が随所に仕掛けられている」、だからこそ「そこから何を盗み取るか(真似をするか)はお前さん次第じゃな」と言っていますね。

粗利ミックスを考える

洋介さんは「うちは製粉・製麺からこだわってる。出汁はうまいし天ぷらはでかい」と自信があるようです。ただ、これは特にこの真田丸2号店だけではないですよね? 他の競合店でもそういうことができます。
「回転寿司やファミレスに対しても分が悪い」ということで「何か定番メニューが欲しいな」と考えています。

そんな中、二人で 「団子だな」と思い浮かびました。「そば粉創作料理の中でもあれは傑作じゃった」とじっちゃん。
つまりそれだけ "商品力がある" ということですね。

そして「飲み物も長く滞在するならコーヒーが欲しいのう」と言ってます。なぜ "コーヒー" なのか? お茶ではお金が取れませんが、コーヒーならメニューが成り立つからです。
そばにコーヒーといっても、そんなに私はミスマッチではないと思いますが、そこにデザートとドリンクセットにもできますね。ケーキや先に出た団子、そういったデザートとでも良いです。他にも和のデザート、抹茶なんかはすごく商品力がありますので、そういったものを用意することもできます。

そうすると同時に "買い上げ点数" つまり客数・客単価の内の「客単価」を高めることにも繋がります。
1号店はアルコールが稼ぎ頭でした。ではこの2号店はどうするか? というと「粗利ミックス作戦」をうまく使っていこうと。

回転ずしでも100円ショップでも必ず "稼ぎ頭" があるから、客寄せ商品を安く提供できます。
つまり回転ずしですと "マグロ" は非常に原価率が高いです。比べて "卵" は原価率が低い。そして子どもは卵なんかは食べやすい。だからこそマグロを頼む大人がいても、子どもで採算を合わせるということなのです。

これを「粗利ミックス作戦」と言います。

さらに商品を回転させたり注文前に見せられたりすると "つい" 買ってしまうとあります。これは最近ですと "食材ロス問題" などもありますので、回転寿司は少しずつ減っていますね。ただこういう目の前に見せられたら "つい" 食べてしまいたくなりそうなことありませんか?
他にもメニューに工夫をしたり、店員さんがセットのおすすめを一言添えたりと、繁盛店は "楽しくたくさん買ってもらう仕掛け" が満載なんだと言っています。

私も感心したのは、あのスターバックスですね。あそこは凄いですね! お客様とのコミュニケーションを、嫌味のない程度の一言でいい気分にさせてくれます。例えば今日の気候や天気をもとに「外はちょっと暑かったですね」などといった一言がとても上手いです。
だからこそスタバは人が来る。そして魅力的な商品もあるので盤石だということですね。

まとめ

今日はここまでとしまして、解説に進みます。
まず「粗利ミックス作戦」ですね。とにかく粗利益を確保するには、全ての商品の原価を下げたら意味がありません。魅力のない店になってしまいます。
だからこそ、必ず "稼ぎ柱" と "客寄せ" を分けて使っていくということ。これを頭に入れておくと色々な戦略が取れますので、ぜひ覚えておいてください。

次に「繁盛店の法則」。費用を抑えて売上を伸ばすにはどうするか?
①数字の見える化で仮説検証の基盤を整える・・・数字データを見える化したら「このデータから導かれるのはこういうことなのではないか?」という仮説を立てます。するとすぐに実践ができるようになりますね。

②競合や他業種を参考に自社ですぐ実践する・・・こういった仮説があるけれど、競合はこういうことをやっていないか? 他社ではこういう仮説に近いことをやっていないか? というのを調べて、じゃぁウチはこうやってみよう! という実践に繋げていくということです。

この「仮説検証と実践」は、ネタばらしをしてしまいますと、三つ目の原則となります。
3大原則…まずは「ターゲット」、それから「利益」、そして最後は「実践」、です。この「実践」ができないと、いくら頭で考えていくらデータを調べても何も意味がありません。実践してこそ、何かしらのフィードバックがあり上手くいきやすくなるということですね。当然失敗も多くありますが。

これは次の講座で少し解説しますが、「失敗を恐れて何もやらない」とただ単に頭でっかちになってしまうということですね。

いかがでしたでしょうか? 次回で最終回になりますが、そこで「商売の鉄則」を改めて解説していきます。
ではまた次の講座でお会いしましょう。

そば職人、経営を学ぶ

受講理解度チェック

本講座を受講した感想を入力してください。入力内容に応じて即時にフィードバックを行います。文字数制限はありません。講座を受講してあなたが「重要だと考えたポイント」「なぜそのポイントが重要だと考えたか」「今後自身が取り組まなければいけないこと」を記載してください。

関連コンテンツ