【徹底解説】中小企業補助金活用ガイド

大きく変わった補助金制度の内容


こんにちは。中小企業診断士、戦略ラボ統括講師の岡本です。
もうすぐ4月、つまり行政の基準では令和4年度となります。

今年度は事業再構築補助金の結果に一喜一憂した1年でしたが、次年度はどのような補助金制度があるのでしょうか?

各種補助金制度はほとんど変わりがないものの、実は中身が大きく変わっています。

特に小規模事業者持続化補助金は大きく変わりましたので、
今回のマガジンでは「中小企業でぜひ活用したい補助金制度」を抜粋してご紹介します。

事業再構築補助金


まずは事業再構築補助金です。今年度は全部で5回の公募が実施され、多くの事業者さんが新規事業でこの制度を活用されました。
私も数多くのご支援をさせていただきましたが、(いろんな意味で)これほど難解な補助金も珍しいです。

次年度は上限額が大幅に削られ、従業員数によっては今年度の約半分となります。
そしてもう一つ大きな変更点として、基本的に建物の新築が不可となりました。これは単に、審査が難しく不正の温床になるからであると考えます。

さらに、「グリーン成長枠」という新たな枠が創設されました。
これは今年度に事業再構築補助金で採択された事業者も申請することができ、
上限額が1.5億円(補助率2分の1)と非常に大きい金額です。
グリーン成長枠は、付加価値額の条件が年率+5.0%増加とかなり厳しい数字です。
さらに、グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する取組が求められ、
ちょっとやそっとの内容では採択されないと考えられます。

これらをもとに、次年度の事業再構築補助金は「既存分野に近いジャンルの新規事業」で最も活用できる見込みです。

例えば、製造業や建設業であれば下請けからメーカーへの転身、サービス業であればオンラインを活用した新サービスの構築、などです。

上限額が従業員数に応じて変更となったことで、今年度のような「ハイリスクな事業」は少々難しくなったとも言えます。

小規模事業者持続化補助金


続いて小規模事業者持続化補助金(以下、持続化補助金)です。
この補助金は、小規模事業者(サービス業は従業員5人以下、製造業その他は従業員20人以下)のみ活用できる補助金制度です。
サービス業と製造業その他で従業員数が大きく違うため、サービス業にとっては申請のハードルが高いです。
しかしサービス業であっても、例えば自動車整備や食品の加工などを行なっている場合、
製造業その他として申請することができます(つまり従業員20人以下であれば申請できます)。

持続化補助金は、次年度から創設される2つの枠が要注目です。

1つは成長・分配強化枠
これは今年度の「低感染リスク型ビジネス枠」に近い枠ですが、上限額が200万円に引き上げられています。
このため、事業再構築補助金ほど費用をかけないものの、何か新たな事業に取り組みたいといった場合に活用できます。

もう1つは新陳代謝枠
これは何と、創業に関する補助も新たに設定されるようです。
今までは、創業する際の補助金が非常に限られていました。
しかしこの枠により、こちらも上限200万円まで補助金を活用できる仕組みとなっています。

その他の補助金

その他には、ものづくり補助金とIT導入補助金があります。
ものづくり補助金は昨年から「ものづくり」に特化した内容の採択事例がほとんどとなり、
またIoTなどの技術が優遇されることで、昔よりも使いにくい制度になった印象があります。

IT導入補助金は新たにPCやタブレットの購入について補助金対象となりました。
ただし上限10万円、補助率2分の1であることから、主に個人事業主や小規模事業者の救済措置とも言えそうです。

そのほかは例年とさほど変わりませんが、
次年度は補助金の幅が広がったことからIT導入補助金の競争率は相対的に下がり、結果的に採択率はやや上がると見られます。

補助金ありきではない事業計画を


補助金がもらえるとなると、必要がなくても「申請しないともったいない」という意識が働きがちです。

しかし私の経験上では、そのような形で申請をしたケースはあまりうまく行かないことが多いです。

実際に私が申請時に手助けさせていただいた事例をご紹介します。

◆既存事業との関連性を整理する
リフォーム事業のショールームを作りたいから事業再構築補助金の申請をしたい」という事例です。
ただ単なる建築物の新築申請では採択が難しいと思われました。
そのため、既存事業の空き家管理を絡めて空き家の一つをモデルハウスとし、
移住者向けのリノベーション事業を行えば良いのではないかとアドバイスさせていただきました。

このように、補助金ありきではなく「事業ありき」で補助金を活用することがポイントです。

戦略ラボでは「事業計画の書き方」についても漫画でわかりやすく解説しています。
ぜひそちらも合わせてご覧ください。

補助金制度活用

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