【新規事業の教科書 第五回】マーケティングSTP<前編>
皆さんこんにちは、戦略デザインラボ中小企業診断士の岡本です。さあ今日は「マーケティングSTP・前編」ですね。こちら前編・後編でやっていきます。それはなぜかと言いますと、それだけこの部分が大事だということですね。大事なのでまずはしっかりと概要を覚えて頂き、もしわかりづらければ漫画だけでも、2回目3回目と読んでみてください。
3C分析とは
前回は経営戦略ということで「通販事業に進出し、自社オリジナル商品を販売する」というところまで決めていきました。山野辺食品としては、この事業の対応が出来るかどうか? というところですが、自社には商品開発力があり、通販向け食品の開発が出来る。それは、コアコンピタンスという他社が真似できない「強み」があるからですね。ただ問題は、何を作るかという部分ですね。社長も困っています。
こういう時に「3C分析」を行います。私は「スリー・シー」と呼ぶことが多いですが、この「3C分析」とは何かといいますと「顧客の視点」「競合の視点」それから「自社の視点」、この三つの視点からさまざまな分析をしていく手法です。では実際にこれをどう使っていくのでしょうか?
3C分析を実際にやってみましょう。赤く四角で囲っている「顧客」の部分は特に重要ですので、覚えておいてください。まずはその「顧客」です。市場にはどのようなお客様がいるのかという部分、そして「競合」は顧客に向けてどのような商品を出しているかという部分ですね。
詳しく見ていきましょう。ウナギが通販でよく売れているということがまずわかります。他にウイスキーや鯛も売れています。つまり通販というのは高級食品が結構売れているのですね。ただ、その代わりA社B社C社それぞれ「強み」を持ち、ある程度「市場を集中」して攻めている感じです。
A社は和食、B社はスイーツ、C社は特産品というそれぞれに強い事業者がいる中で、山野辺食品は「どのようなポジションに行くのか?」そして「どのような顧客を獲得していくのか?」ということを考える必要があります。
そこで「自社はどうしようか?最も得意なジャンルは何なのか?」との答えに、「それは大豆食品だ」と社長が言っていますね。ただ少し考えてください。大豆食品として思い浮かぶ豆腐や納豆などは、「高級品」ではないですよね?
今回の「通販需要」や「通販の戦略」というところでは、なるべく高級品を売っていかないと利益が出ません。ではどうするのか。大豆食品だけで高級化は難しいのか? であれば、高級な大豆食品はないのかを調べていきましょう。
すると、「ハラルフード」が思い浮かびました。ハラルフードは宗教上で「食べることを許されている食品」という意味の食品です。このハラルフード、ベジタリアンやヴィーガンと呼ばれる方々に対しても非常に相性が良いです。なのでこの大豆製品は、「ハラルフードやベジタリアン、ヴィーガンといったお客様の願望を満たすことができるのではないか?」と解釈できます。
そしてハラルフードは沢山あるのですが、お客様の悩みはかなり共通しています。大豆を使い何かの製品を模したもの、何かの食材を模したものですので、「美味しくない」という声はかなりあります。つまり、裏を返せば「美味しければ売れる」ということですね。
ここまで決まりましたら、次にこの3C分析を元に「STP」でまとめましょうという形で漫画の方は終わっております。つまり、今回「3C分析」をしました。次はこの「STP分析」をやるということですね。こちらは次回に回します。
お客様の願望を見極める
では今日のまとめです。まず「3C分析」で情報収集するのはなぜかといいますと、「競争を避けるためにやる」ということを覚えてください。これは「市場のお客様はどういうお客さまがいるのか」、それから「競合はどういう競合がいるのか」、ここまで分析してから「自社はどのようなお客様を、どのようなポジションで狙っていくのか」ということを考えていきます。そしてここで重要なのが「お客様の願望」です。
「願望」というのは何でしょう? それは、お金を払ってでも解決したいと思う「満たされていない需要」ですね。これを「願望」と呼んでおります。この願望ごとに競合が変わるという点に注意してください。例えば「痩せたい」と言ったときには色々と願望の解決手段がありますよね? 健康食品やダイエット食品、それからジム。又は糖質制限ダイエットとなど、そういったものに頼るかもしれません。なので、願望ごとに無数の競合会社がありますし、方向性によっては競合が変わってきますので、そこもしっかりと分析していきましょうということです。
そのためにはどうするか? というところを見て見ましょう。
ここでまず顧客の「願望を解決する」ということを、必ず念頭においてください。そこが無いとお客様は購入しません。例えば5000円出して物を買うといった時に、何か「解決する願望」がなければ、購入には繋がらないということですね。
今回ですと、大豆製品はあまり「美味しくない」のだけれど、例えば大豆でお肉の味を再現したら.....それは売れますよね? 解決する願望である「美味しければ」という部分ですね。本当にここは、お客様はどういう願望を持っているかということを集中的に調べてみてください。
コアコンピタンスを活かしていく
そして次、自社の「コアコンピタンスを活かす」。今回の山野辺食品であれば、大豆製品が非常に強いわけです。ということは、その「強みを生かしてお客様を獲得していく」、そして自社は「どのようなポジションで競争を避けるか」ということも考えていきます。
最終的にはこの結果として「サービスの質で競合に勝る」ということですが、「勝る」というよりも「避ける」といった方が正しいですね。「相手(競合)が仕掛けてこない」「競争を仕掛ける気がしない」ようなポジションを築くということを、重々承知してください。
そして最後に情報は「STP」にまとめます。「STP分析」というものがあるのですが、マーケティングで有名なコトラー教授が提唱した理論です。かなり昔の理論ですが、お客様の視点で書かれているのでとても使いやすいです。
ですので「3C分析」で大枠を分析したら、「STP分析」に落とし込むというやり方をすると、とてもうまく考えることができます。次回やりますが、この「STP分析」には「ターゲティングとポジショニング」という流れがあります。この流れは外さないでください。ここを外すとあまり上手く次に進める事が出来ませんので、この流れだけは今回覚えておいてください。
いかがでしたでしょうか?今日は「3C分析」そして「STP分析」の触りだけやりました。まずは「3C」という部分をしっかりと理解してください。
はい、何でしたか? .....「顧客」「競合」「自社」でしたね。それだけは覚えてください。そして「お客様の願望というものが大事」だということも、頭の隅に留めていただけると、非常に分かりやすくなりますので、ぜひそちらも覚えておいていただければと思います。
ではまた次の講座でお会いしましょう。
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