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【脱プレイヤーバイブル 第三回】経営戦略後編
皆さんこんにちは、戦略デザインラボ中小企業診断士の岡本です。今回は経営戦略の「後編」ですね。前編で「ポジショニング」と「ケイパビリティ」の二つがとても重要だというお話をしました。今回は同じ漫画ですが、経営戦略の歴史、つまりどのようにポジショニングとケイパビリティが生まれたか、そしてこの二つの戦略の他にどのような戦略があるのかを解説します。
時代が変わるごとに、戦略もどんどん変わっていきますよね。最近はすごく不確実な時代と呼ばれていますが、そんな不確実な時代にどのような戦略が適合するのかということも、簡単にご紹介したいと思います。
戦略のフレーム
では漫画ですが、前回と同じです。簡単におさらいしていきましょう。カットさんが美容商社大手の麻生社長を訪ねました。カットさんはいろいろと悩んでいましたね。自分が頑張るのは当然だけど、他のスタイリストには多くは望めない。
それから働ける時間は限界があります。限界まで働くとプライベートもうまくいかなくなる。さてどうしたものかと考えていますが、そんなときに麻生さんがアドバイスをくれるとともに、かなり厳しいことを言っていましたね。
あなたのやっていることは、経営ではなく労働だと。これは前編でもお話しましたが、今のカットさんがやってるのは「経営」ではなく「労働」だと言っていますね。だから利益が生まれる仕組みを作る。つまり「経営」のことですね。
「経営」をやっていくにはどうすればいいのか。カットさんはいろんなセミナーや本で戦略なども学んできましたが、自己流で学んできたためうまくいかなかったようです。なぜかというと、まずその前の体系的な学び、つまり「戦略のフレーム」がなかったということですね。
なんとなく覚えて学んでも、「フレーム」がないとその場しのぎの戦略になってしまいます。学んだことが「点」になってしまう。それじゃまずいですよね。点ではなく「線」にならないといけない。そしてさらに「面」にならないといけない。
そんな学びの仕方をするには、必ず経営の理論をフレームで考えていくことが必要です。その経営理論として代表的な者が、ポジショニングとケイパビリティです。
この二つが大事だということで、前回はポジショニングとケイパビリティをしつこく解説しました。いわゆる「外」と「内」ですね。外と内の考え方で、特に3C分析とSWOT分析はとても大事だということをお話しました。ポジショニングとケイパビリティ、どちらか重視するのではなく、両方ともバランスよくやっていくことが重要です。
経営戦略の歴史
そして今日は「経営戦略の歴史」です。なぜ歴史を学ぶかと言いますと、体系的に覚えるのが大事だということを先ほども話しました。戦略をはじめとした理論は、なかなか頭に入りません。ですので、必ずこうやって体系的に覚える。体型的とは、全体のまとまりを俯瞰して学ぶということですね。そしてフレームの枠組みで考えていくのはとても重要です。
では後半にある「経営戦略の歴史」をご覧ください。1900年以降、テイラーとメイヨーからポジショニングとケイパビリティの歴史が始まりました。このあたりはそんなに覚えなくても良いです。ただこの頃からポジションニングとケイパビリティは既に概念として存在していたということですね。そして1960年以降、徐々に現在の経営理論が固まり始めました。STPや4P、SWOTなどの言葉がありますね。
SWOT分析は前編にも出てきましたね。ケイパビリティは日本企業が良く例えられますが、ちょうど1970年ぐらいから、高度成長期で日本企業が伸びていきました。そのため世界中で注目され、その競争優位の源泉は何かといったら「ケイパビリティ」というお話でした。ポジショニングとケイパビリティですね。それぞれいろいろ書いてあります、STP、4P、PPMなど、これはポジショニング。コアコンピタンス、タイムベース、VRIOと書かれているのは、ケイパビリティ。
ポジショニングの中で特に重要なのは「4P」。これは4Cという視点もありますが、マーケティングの具体策を決める上でとても重要なフレームワークです。逆にケイパビリティでは何が重要かというと、「コアコンピタンス」。これとても重要です。タイムベースやVRIOも重要ですが、その中でも特に重要なのがコアコンピタンスです。コアコンピタンスとは何かというと、他の企業が持っていない、または持つことが難しい、その企業独自の特徴のある強みとでも言いましょうか。コアコンピタンスにあたる強みがあるからこそ、その企業は他社と差別化ができている。そんな強みを指します。
ちょっとこのお話は難しいかもしれませんが、要はコアコンピタンスというものを中心に考えて(特徴のある強みを活かして)経営を広げていきましょうというのが、このケイパビリティの中でも特に重要な考え方です。
私はセミナーなどで「多角化戦略」というお話をちょこちょこしますが、多角化戦略は今の事業と違う事業を始める戦略です。その際にはこのコアコンピタンス、つまり強みの中心となるものをもとに戦略を考えていかないと、なかなかうまくいきません。ということでこのコアコンピタンス、とても重要です。
現代の経営戦略
今はどういう戦略があるかというと、コンフィギュレーションやアダプティブなんていうのもあります。コンフィギュレーションとは、ポジショニングとケイパビリティを、その都度状況に応じて使い分けましょうという戦略です。
これに対してアダプティブは、「適応型戦略」などと呼ばれます。その時々の環境に適応する形で、戦略を都度修正していきましょうというのがアダプティブ戦略です。この辺はそこまで覚えなくて構いません。なぜなら、最近の戦略は本当にもう数年でコロコロコロコロ変わってしまいます。
例えばここにあるブルーオーシャン戦略ですね、これはもう2000年代中頃に提唱された戦略なんですが、正直このブルーオーシャン戦略、最初はブルーオーシャン(青い海)に飛び込めますが、すぐに真似されます。特に電子決済のような業種では顕著です。他社に先駆けて電子決済の業種でスタートダッシュを切ったOrigamiPayですが、あっという間に真似され、そして資金力で駆逐されましたよね。
基本的にブルーオーシャン戦略は、価格で勝てなければすぐにレッドオーシャン(血の海)化してしまいます。このため、あまり優位性がない戦略でもあります。
他にもイノベーションやデザイン思考などがありますが、これらは確かに重要なんです。重要ですが、ただ、ポジショニングとケイパビリティという二つの軸に比べると、重要度では劣るいうこともご理解ください。イノベーションやデザインという言葉が持て囃されていますが、これらは土台となる戦略が無いと全く機能しません。
同じページの下部分に、ポジショニングとケイパビリティの特徴をまとめてあります。まずポジショニングは、儲かる市場で儲かる立場になれば儲かる。儲からない市場でも、独自のポジションを築けば儲かります。しかしそれは高度な戦略ですので、まずは基本を抑えることを優先してください。
それからケイパビリティ。これは自社の内部環境ですが、自社の強みを生かして機会を掴む。これは経営分析や事業計画で、鉄板とも言えるセオリーです。ポジショニングとケイパビリティ、この二つのどちらかを重視するのではなく、バランスよくコンフィギュレーションしていく、つまり状況に応じて使い分けるということですね。これが現代の経営に適合する戦略に近いのかな? と思います。
フレームワークを使いこなす
次のスライドに移りましょう。ここではフレームワークの有用性について述べています。スリーシー、サンシー、どちらでも良いですが、私はスリーシー分析と読んでいます。その3C分析とSWOT分析、これらはとても汎用性が高いです。どんなときでも、この二つの分析を使わないと損です。
特にマーケティングでは、3C分析はとても使えます。私も絶対にこの3C分析とSWOT分析は使います。当然これだけでは優位性は獲得できませんが、ただこれがないと、そもそも分析の土台ができない。このため、必ず3C分析とSWOT分析を行い、分析結果を受けて自社はどうするか、その分析結果をそもそも使うのか否か、それともあえて分析結果を使わず自社のコアコンピタンスを活かした戦略を取るか。分析を受けて「こういう顧客が絶対大勢いる」という信念で戦略を決めるのも手です。
Appleはまさにその典型ですが、最初は今ほどアップル製品は持て囃されていませんでした。ただそのアップルの世界観、つまりiPhoneという世界観、Macという世界観が顧客の心を鷲掴みにしました。ちなみに私もMacBookを使っています。それなぜかというと、おいおい話すことにもなるでしょう(笑)。
スターバックスも一緒ですね、顧客とのコミュニケーションを通じて独特の世界を構築している。そういう戦略もあります。なので、あくまでも分析は分析結果として残るのであり、それを使うか使わないかというのはまた別の話です。だけど分析結果は目に見えるものとして残るから、必ず分析はやりましょうねという話です。その分析に必要なのが3CやSWOTというフレームワークです。
今日の講座は以上となります。経営戦略の前編と後編で、特にポジショニングケイパビリティが大事だということ、更に3C分析とSWOT分析がとても大事だということを解説しました。この二つだけでも必ず覚えてください。
他も余裕があれば覚えていただきたいのですが、まずは上記の二つをしっかりと覚えてください。
以上で今日の講座は終わりです。また次の講座でお会いしましょう。
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