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【脱プレイヤーバイブル 第五回】利益を生む仕組み後編

皆さんこんにちは、戦略デザインラボ中小企業診断士の岡本です。今日は「利益を生む仕組み」の後編ですね。前回は前編で、マーケティングミックスを主に学びました。さあ、後編では何を学ぶかといいますと、利益を生む仕組みの実際のやり方ですね。それを学んでいくとともに、マーケティング戦略の全体像を掴んでいただきたいと思います。

自社にとっての「お客様」を知る

では早速漫画を見ていきましょう。まずカットさんが何か考えてるところから始まります。従業員の美々ちゃんに聞いていますね。美容師が利益を出したいと思ったら、回転を良くして客数を増やす、それから客単価を上げる、この二つぐらいしかないよね? と。
これは確かに正解です。正解ですが、ちょっと他の視点も見ていきましょう。美々ちゃんは他に「わかんないですけど、うちは個室っぽくて、ゆったりできるのは評判いいし」という話をしてます。でもこれはBe Freeという美容室の「特徴のある強み」ではないですよね。
実際にライバル会社がこれを真似ることはできます。個室もゆったりも内装のレイアウト次第ですからね。ということは、お客様を獲得するポイントはこれではないということです。

さらに美々ちゃんは何かを思い出しました。「武田さんは毎月トリートメントもセットで注文しますよね」と言っています。武田さん、うちに来て髪がツヤツヤになったって喜んでましたと。美々ちゃんも自分でトリートメントをやったら、すごい髪がツヤツヤになって友達に羨ましがられると言っていますね。

ここでカットさんが何かに気づきました。何に気づいたかというと、「これが利益を生み出す仕組みそのものじゃないか」と、核心となる部分に気づいています。
もし武田さんを増やすことができたら…と言っていますが、これはもちろん「武田さん」を増やすのではなく、武田さんみたいなお客様を増やしていくという意味です。これはいわゆる、「ターゲット」と呼ばれるものですね。
この「ターゲット」という言葉、とても大事なのでちゃんと覚えてください。
その後カットさんがどこかに電話するところで漫画は終わっていますが、今日はこの「利益を生み出す仕組み」の具体的な方法を学んでいきましょう。

客数と客単価、大事なのは?

では解説に進んでまいります。まず既存事業の拡大をする場合、客数・客単価という切り口が出てきました。実際に脱プレイヤー、つまり自分から仕事を手放すために、一番先に手をつけたいのはやはりここですね、お客様を増やすか、お客様の単価を上げるかということですね。
売上を増やすには? って聞かれたら、「客数を増やす」「客単価を上げる」という視点がとても重要です。もう「売上」と耳にしたら、客数と客単価どちらかの切り口しかないと思ってください。

しかしこの視点、実は盲点があります。客数を増やすというところを見ていきましょう。SNSの発信や営業活動に時間と手間をかける、これは確かに客数を増やす施策ですね。しかし「利益の出る受け皿がない場合は継続できない」とスライドに書いてあります。
これはどういうことかといいますと、売上を頑張って増やした場合、果たして利益がちゃんと出てるかどうか? ということですね。客数をやたら増やしても、そもそも利益がちょっとしかなかったら、単に消耗するだけですよね。
つまり、売上を増やしても利益に必ずしも繋がるとは言い切れないから、客数を増やす場合は利益も考えなければいけません。

もう一つの「客単価を上げる」はどうでしょう? これは利益が増えますよね。スライドにもメニューと値段設定を見直すとありますが、メニューと値段設定を見直したら当然利益は増えますね。
ですので、売上を増やすにはどうすれば良いか? …客数を増やして客単価を上げる。利益を増やすにはどうすれば良いか? …客数を増やすが先ではないですよね。客数が増えて利益が増える場合もありますが、それよりも客単価をまず増やすということを力を入れていかないといけない、ということですね。

ただ、価格の決定権がない場合は値上げが難しい。これは下請けとか、業務委託とかそういった場合を考えてみてください。相手に価格の決定権があり、自分に価格の決定権がない場合ですね。こういう場合は客単価を増やすのは難しいですよね。
だから客単価を上げる場合には、自分で価格決定権を持つため自社独自の商品・サービスを展開していく必要があります。
つまり、既存事業の拡大というよりも新たな商品・サービスを出していかなければいけないということです。

マーケティング戦略の全体像

次に、マーケティング戦略の全体像を見てみましょう。マーケティング戦略と書かれていますが、経営戦略でもPEST分析とSWOT分析は使います。場合によって3C分析も使いますが、このように経営戦略とマーケティング戦略は結構かぶってるところもあります。
それだけ経営に関しては、マーケティングというものが重要だということですね。マクロ環境にはPEST分析。マクロ環境というのは自社の外にある大きな要因ですね。政治的な要因とか、経済的な要因とか、社会的な要因とか、技術的な要因とかですね、これも新事業展開の講座で詳しくやっていきます。

そして業界環境の分析、つまり3C分析です。それからSWOT分析、いわゆる強みと弱みと機械と脅威、これらを分析して戦略の道筋を立てていきます。戦略の道筋を立てたら、今度はターゲティング、そしてポジショニングです。

ここでポジショニングという言葉が出てきましたが、ポジショニングとケイパビリティを覚えていますか? 中小企業にはポジショニングがとても大事だということをお話しましたが、ここの「ターゲティング」と「ポジショニング」もとても重要です。
「武田さんみたいなお客様」は、まさにターゲットと呼ばれるものです。なので武田さんみたいなお客様を増やすという戦略は、自社のターゲットをちゃんと定めているということですね。

その武田さんみたいなお客様を増やすには、自社はどのポジションに位置すればいいか。つまりすごくトリートメントの品質が良くて、だけど価格は高めというポジションにするのか。または、お客様がどういったお悩みを抱えていて、どのような商品サービスを求めているか、どのように自社はお客様の解決してあげるか、というのを踏まえたポジショニングもあります。自社は競合とライバルと比べ、こういったお客様の悩みを解消できるから、こういった独自のポジションに位置しようとか、そんなことを考えていきます。

これらを考えたら、最後にマーケティングミックスです。前回もお話しましたが、4Cと4Pの視点が重要です。4Cはお客様目線で、4Pは自社目線ですね。ここだと4Pの視点が描かれていますが、必ずこの裏には4Cによる根拠があると思ってください。
その4Cにより分析し、お客様のニーズをもとに、製品・価格・プロモーション・流通というものを考えていかないと、必ず失敗します。そこは気をつけてください。

そして、マーケティングの基本の型は「ポジショニング発想」。ターゲティングとポジショニングが重要ですというお話をしましたが、本当にこれは重要なんです。それだけ中小企業にとって「ターゲティング」「ポジショニング」という考え方が抜けているということです。抜けているということは、これからそこを埋めればいいわけですので、まずはポジショニング発想というものを、じっくりと覚えてください。

そのポジショニング発想で考え、儲かる市場で儲かる立場を取ることがゴールになる。実際は儲からない市場でも儲けることはできますが、それは少し難しい戦略なので、より簡単な方をまずは選んでいきましょう。
そして最終的な施策や行動は4Pへと落とし込まれる。これは「具体的に何をやればいいか」まで落とし込むには、4Cと4Pの発想が必要だということですね。

最短で売上と利益を増やすには

もし売上と利益をすぐにでもどうにかしなければいけない、という場合は、まず4Cと4Pというところだけでも先に考えてみてください。
今のお客様の中で一番のファンは誰ですか? とまずは問いかけてみることです。そうすると、戦略を立てなくてもひとまずのターゲットになります。ターゲットとなるお客様を決めたら、そのターゲットとなるお客様を増やすために自社は何をすれば良いか。具体策をマーケティングミックスで考えていきます。

なぜ自社の商品やサービスが選ばれてるかを読み解いていくと、具体的な行動に移せますよね。お客様はうちのインスタすごい見てるよね、そこから来るお客様はリピーターになりやすいよね、じゃあインスタでターゲット顧客に向けた発信を強化しよう、など。
そうすると、インスタの写真の撮り方も考えるようになりますし、自社のブランド価値を高めるような撮り方をしていこう、もっと見栄えの良い写真を撮っていこう、となります。ブログからお客様が来てるのであれば、もっとターゲットのお客様が「役に立った」と思えるような情報を発信しようとか、そんな施策を打つことができます。

もちろん、4Cや4Pで変えることができる部分は限界があります。しかしそう思ったら、今度はちゃんとマクロ環境から分析して、ターゲティング・ポジショニングというところまでしっかり分析してからマーケティングミックスを考えてみてください。

仕組みを学ぶ

これで「利益が生む仕組み」の前編・後編は終わりです。どうでしょうか? まず経営戦略の前編・後編をやって、利益を生む仕組みの前編・後編をやりました。これらをよく考えていただきたいのですが、必ず何かのフレームが出てきますよね。
経営戦略でも、フレームが沢山ありました。そしてポジショニングとケイパビリティに始まり、いろんな考え方がありましたね。この利益を生む仕組みも、売上ときたら客数・客単価で、利益を重視するのであれば客単価の方が大事だということも学びました。さらにマーケティングミックスの4Cと4P、それからマーケティング戦略の概要とフレームワーク、こういったもの全部が経営の土台や基礎となります。

これらを無視してしまうと、必ずマーケティングは失敗します。今日覚えたことは、今すぐにでも自社に当てはめて、ひとまずマーケティングミックスだけでもやってみてください。そうすると、何か打ち手が見つかります。もちろんその打ち手を知っていないとなかなか思い浮かばないこともありますが、方向性・やり方、そういったものだけでも見つけることができれば、経営は徐々に改善していきますので、ぜひ取りかかってみてください。

では今日の講座は以上となります。また次の講座でお会いしましょう。

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