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【新規事業の教科書 第三回】現状分析から戦略を描く

皆さんこんにちは、戦略デザインラボ中小企業診断士の岡本です。さて、今回は「現状分析から戦略を描く」です。前回はPEST分析やSWOT分析などの分析を行いましたね。で、今回はその分析結果から、今後どのようにすれば良いかを導いていきます。
ここはとても重要です。現状をしっかり把握してから、次にどう進めばいいかという部分、つまり方向性を間違えてしまうと非常に危険なことになります。ですので、しっかりと今日は覚えてください。

二つの方向性を示す

では漫画の解説に進みます。前回はPEST分析、それからSWOT分析をやりましたが、ここから二つの方向性を導くことができます。一つ目は、「強みを活かして機会を掴む」。これは王道です。それからもう一つ、「弱みを克服して機会を逃さない」。これもかなり重要です。

この二つを「一つの戦略としてやる」、もしくは「別個の戦略で考える」、どちらで考えても大丈夫ですが、ひとまず今日は二つの方向性があるということだけはしっかりと覚えてください。まずは「自社の強みを活かして市場の機会を掴む」、これを考えていきましょう。

岡田さんはアウトドア需要の増加、これが市場の機会だと注目しましたが、社長はアウトドア需要増加という機会に対し、果たして山野辺食品はアウトドアに活かせる強みってあるのかな? と疑問に思っています。実際はあると思います。あると思いますが、そこまで活かすことはできないと考えているようですね。

多角化戦略とは

ちなみに岡田さんが考えた戦略は「多角化戦略」、つまり新しい商品・サービスを新しい市場のお客様に売っていく戦略です。そして多角化戦略の中でも、「関連多角化戦略」と「非関連多角化戦略」の二つあります。
今の岡田さんの話は、自社の強みを活かしにくいので「非関連多角化戦略」ですね。これはリスクが高いです。例えばアウトドアでも、レトルト食品や調味料は人気があります。ただ山野辺食品としては、これらのノウハウはあまり持っていないわけです。持っていなければ新たに持つという選択肢もありますが、今回はちょっと危ないな…という話になります。

その後は社長が「まずは既存顧客向けの新商品開発が良いという事ですか?」と聞いています。ちょうど右上にプロットされていますが、「新商品開発」という戦略です。これだと確かにそんなリスクはないです。しかし、今までの取引先はスーパーや卸売会社ですね。つまり、価格面で買い叩かれる可能性がある。これを価格の決定権と言いますが、これは後でお話します。なので、新製品出しても買い叩かれる可能性があるということですね。

関連多角化戦略

これを覚えていただいて、山野辺食品が進むべき戦略の方向性を示します。先ほどの多角化戦略の中でも、自社の強みを生かした戦略が取れる「関連多角化戦略」、これを目指しましょうと中野さんが言ってますね。

関連多角化戦略を目指すには、強みをさらに深掘りしていかなければなりません。山野辺食品の場合、品質やアジアで評価されている、大豆製品で消費者に認知されている、これらの元となる強みって何でしょう?
そうすると、最新の機械設備、それから従業員のスキル、こういったものが根底にありますよね。それがまさに山野辺食品にとって非常に大事な強みとなります。これは「持続的競争優位の源泉=他社が容易にマネできない強み」と呼ばれています。この持続的競争優位の源泉である強みを活かせば、多角化戦略をとってもリスクを抑えることができます。

ちょっとここは難しい話になるので、後で詳しく解説しますが、まずはこの「持続的競争優位の源泉である強み」が大事ということだけ覚えてください。そうすると、SWOT分析の機会で「通販需要」がありましたね。通販需要に進出し、自社商品を通販商品として消費者向けに売る。高級品の通販も需要が拡大していることから、大きな需要が見込めそうですと岡田さんが言っています。

であれば、通販ではある程度価格が高くても売れるんじゃないかということですね。ただその後、山野辺社長が「大手通販サイトを使って売ったらどうか」と言っています。ここは先ほども言いましたが、肝心の利益が大きく削られてしまいます。
それはなぜかというと、価格の決定権あっても収益性が低くなるからです。例えば通販サイトで売る場合、価格の決定権は自社が持っていますよね。いくらで売ろうが構わないわけですから。ただ、例えば大手の通販だと当然手数料も高いため、コストが大きくのしかかってきますよね。

あと、大手通販サイトはサイト内にライバルがすごく多いので、価格の決定権を持っていても非常に収益性の低い事業になってしまいます。これが問題かなと。
大手通販サイトを使うメリットはありますが、今回はあまり良くないということになります。

危険な道に行かない

今日のまとめに入ります。まず、多角化戦略は非常にリスクが高い戦略です。この四つの中で戦略で一番リスクが低いのは「市場浸透戦略」ですが、これは既存のお客様、既存の市場に向け、既存の商品を提供する。つまりもっと顧客を開拓していきましょうということです。
それから「新市場開拓戦略」と「新商品開発戦略」は、まさに文字通りの戦略です。この2つはそんなにリスクは高くない戦略です。しかし多角化戦略、つまり新しい商品・サービスを新しい市場で売る戦略はリスクが高いです。先ほどの、アウトドア市場でレトルト食品を売るという戦略は、まさに多角化戦略です。

新たな大豆商品を通販市場で売るというのも多角化戦略です。ただこの二つの違いは、アウトドア向けレトルト食品の方は「非関連多角化戦略」で、もう一つの大豆商品の通販事業は「関連多角化戦略」です。
なぜかというと、山野辺食品の強みを生かせるのが大豆の製品ですね。さらに通販サイト、それも消費者に向けて直接売るということで、ここはいわゆる自社の強み、そして持続的競争優位の源泉となる強みに紐づいているため、「関連多角化戦略」になるということです。アウトドア向けレトルト食品ですと、そこまで自社の強みを活かせません。持続的競争優位の源泉となる強みを活かせないから、「非関連多角化戦略」となります。リスクが高い、ノウハウが乏しい、それが大きな違いとなります。

コアコンピタンスとは

そして最後に「コアコンピタンスを生かす」とあります。コアコンピタンスとは、自社の強みの中でも「特に他社が真似することが難しい強み」です。いわゆる持続的競争優位の源泉とも言いますが、これらをひっくるめて「コアコンピタンス」と呼ばれています。
この言葉は別に覚えなくてもいいですが、とにかく自社の中でいろんな強みがあると思います。そのいろんな強みを支えている強みは何か? ということをまず調べてみてください。分析してみてください。
そうすると、自社の強みの中でも、いろんなとこに紐づいている強みが見つかります。

コアコンピタンスの見つけ方も実践ワークで学ぶことができます。戦略ラボでもテンプレートを用意しておりますので、それを使って分析していただいて構いません。持続的競争優位の源泉となる強み、つまりコアコンピタンスを探してみてください。
これを探すと、多角化戦略であっても、リスクの低い関連多角化戦略に進めるようになります。

はい、いかがでしたか? 新事業もこの「戦略」がブレてしまうと、この後の全てがブレてしまいます。
とても重要な部分なので、必ず自社の強みに紐づいた戦略を検討してください。その中でも特に重要なのが「コアコンピタンス」です。いろんなところに紐付いてる強み、他社が真似できない強みをもとに、戦略を考えて見てください。

はい、いかがでしたでしょうか? まだまだこの新事業展開、続いていきます。ぜひ漫画も楽しみにしてください。
では次の講座でまたお会いしましょう。

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