【伝わる文章を書く 第四回】比喩と例え話で伝え上手に
皆さんこんにちは、戦略デザインラボ中小企業診断士の岡本です。さあ今日は「伝わる文章を書く」の中でも、ちょっとね高度なテクニックとご紹介します。これを使えると、とても伝わりやすい文章や会話につなげることができます。
比喩と例え話
では漫画の解説に進みましょう。まず、決算書見といてねと諏訪さんが天龍さんにぶん投げています。天龍さんは決算書の見方が分からないので、諏訪さんに聞こうとしたのですが、諏訪さんは少し忙しそうですね。こういう時って結構ありますよね。
その後諏訪さんからチャットが来ましたが、その内容をちょっと見てみましょうか。法人の決算書を学生の成績通知書に例え、とても分かりやすく伝えています。決算書を学生の通知書と同じと考えて、イメージしやすい身近なところで例えているので、とても分かりやすいですね。
諏訪さんは過去にも、城の石垣に例えて説明してくれたんですよと小川さんが言っています。そこに社長が来て、何か説明していますね。ワンランク上の文章を書くには、比喩や例え話が鍵になるそうです。
相手目線の伝え方
さて、比喩には直喩と隠喩があります。直喩はそのままで、「〜〜のようだ」という比喩の表現を使います。これに対して隠喩は、特に強調するときに使われやすいです。主に比喩を断定するような使い方ですね。小川さんもマンガの中で「僕の笑顔は太陽だ」という隠喩を使っていますが、これはあまり良い隠喩とは言えないですね(笑)。
比喩や例え話を使えると、相手が知らないことでも伝えやすくできます。これがとても大きいと思います。次の場面で一つの例えがありますが、新商品は15センチ10センチぐらいのサイズですというシーンをご覧ください。こんなのイメージが湧かないですよね、では、葉書ぐらいのサイズですと言われるとどうでしょう? とてもイメージしやすくなりませんか? このように、実際はとても単純に見えるかもしれません。しかし比喩や例え話を効果的に支えている方はほとんどいません。
業界でいえば、製造業はその際たる例かもしれません。製造業で、どうしても製品の特徴、細かいスペックを訴求することが多いです。実際に製造業の会社さんのサイトを見ると、製品のスペック面を書いている事業者さんがすごく多いです。ですが、お客様はそこに注目していない可能性がありますよね。むしろ何か悩みがあって、それを解決するためにその製品は活用できるのかどうか。こういった目線でサイトを見ているかもしれません。なのにそういったスペックとかを書いてしまう、これが実はマーケティングでも結構問題になります。
相手の方の目線で考えていない、喋っていない。そうするとすごく伝わりにくいです。ここの例えみたいに「葉書ぐらいのサイズです」と言うだけで、とても伝わりやすくなりますよね。こういった文章の考え方がとても重要です。
これができるようになると、マーケティングで広告文章を考える際にもお客様に伝わりやすくなりますので、文章術は自分の業務に必要であることはもちろんのこと、他のところにも使えるということを覚えておいてください。
イメージを伝える
では今日の要点を解説します。比喩や例え話でイメージを伝える、これはとても重要なことです。彼女はひまわりのように明るい、これは直喩ですね。「〜〜のようだ」と言う表現です。彼は仕事の鬼だ、これは隠喩ですね。「〜〜のようだ」と言う表現使わずに例えています。こちらの方が直喩よりもグッときますよね。
隠喩というのは、使い方によって相手に強いイメージを与えますが、強いイメージを与えるだけに使いどころを間違えると大変なことになります。政治家の方はたまにこの隠喩で失言することがありますよね。強いイメージを与えるだけに、使い方には充分注意しましょう。
他にも擬人法がありますが、これは皆さんよくご存知じゃないでしょうか。おそらく学生の頃に聞いたことがあるかと思います。この擬人法もマーケティングで使いやすいという特徴があります。
いわゆる一般消費者に、「この商品はあなたにとってこういう効果がありますよ、メリットがありますよ」というのを表現するのに最適です。一般消費者じゃなくても、例えば相手が企業であっても、擬人法をうまく使うとさまざまなメリットがあります。
相手は素人である
最後に、伝わる表現としても特に重要なことをお伝えします。それは、「相手は素人である」ということです。例えばコンサル業界ですと、いろんな専門用語があります。例えばこんな感じ。「戦略を立てるには、まずPEST分析とSWOT分析を行い、ポジショニングとケイパビリティの観点から戦略を検討します。そこからマーケティングの3C分析やSTP分析を行い、マーケティングミックスで具体策に落とし込みます」。
よく分からないですよね(笑)。これを例えば、「自社の企業の外の要因、いわゆる経済の動向とか政治の動向などをまず調べましょう。そこから企業の中の要因、例えば社員の能力や設備の性能、組織文化や体制などを分析し、戦略を立てていきましょう」に直すと、いくぶん分かりやすくなりますよね。
どのような業界もそうですが、必ず「相手は素人である」ということを前提に話してください。相手は知らないということを前提にしないと、いわゆる「製品志向」と言われるような状態に陥ってしまいます。
製品志向とは、製品の性能や特徴などを前面に打ち出して売ろうとするやり方です。そうではなくて、「顧客志向」、つまりお客様の目線に立って伝えることがとても重要です。相手は何も知らないから、ちゃんと相手にわかるように伝えましょう、というのが大事です。
今日の講座は以上となります。どうでしょうか? 伝わる文章の書き方ということで、文章のポイントを中心にお話をしましたが、もちろん会話についても一緒です。私は「例えば」という言葉をよく使いますが、例え話は相手に伝わりやすいです。伝わりやすいからこそ、いろんな例え話を持っておくことが大事です。
その例え話には、今回の直喩や隠喩、擬人法をうまく活用してみましょう。きっと相手に伝わりやすくなります。
ではまた次の講座でお会いしましょう。
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