【新規事業の教科書 第九回】収益計画
皆さんこんにちは、戦略デザインラボ中小企業診断士の岡本です。今日は「収益計画」ですね。この収益計画しっかりと決めていかないと、計画自体がかなり危なくなってしまいます。リスクが高くなるということですね。
ただし、これはあくまでも予想値ですので綿密に決めることはできません。にもかかわらずなぜ決めるかというと、後で見返したときにこれが重要になるからです。例えば1年後2年後、実績が予想値に届かなかった。そんな場合に、なぜ届かなかったのか、それを検証する材料となりますね。
ですのでここはしっかりと決めていく必要があります。
三つの要素
では漫画の方に参りましょう。収益計画ですが、具体的に何をやればいいかといいますと、まずこの三つだけは絶対に覚えてください。一つ目は「資金調達」、二つ目は「投資回収期間」、それから三つ目は「5ヶ年計画」ですね。この三つがとても大事です。
それぞれを説明しますと、資金調達、これは金融機関から借り入れも含まれますが、投資金額と運転資金です。新事業に必要な運転資金も必要となります。次に投資回収期間、これは初期の投資資金、つまり借入額や自己資金も含め、何年で投資を回収できるかを出していきます。最後に5ヶ年計画です。これは3年でも構わないんですが、できれば5年入れてください。というのも、新事業というのは後から収益が大きくなってきますので、3年で全ての結果が出ることはなかなかありません。
一番でかいのは4年目と5年目、そこの収益がでかくなりますので、必ず5年で計画してください。
はい。では今回投資金額の予定額ですね、1億2000万円。これに対してどの程度の金額を金融機関から借りるか、そして投資額に対して、何年で回収できるかということを決めていきます。ただしこれ、5ヶ年計画で数値を落としておかないと分かりませんので、先に5ヶ年計画を作っていきましょう。
客数×客単価の予想値
1年単位の収益、これを考える前にまず新製品の客数や客単価を考えていく必要があると中野さん言っています。実際に、客数や客単価が決まらないと計算が難しくなりますので、まずはここを必ず決めてください。
そして今回は通販がメインなので、送料がかかりますよね。ということは、ある程度まとめ買いをしてくれるお客様を想定します。じゃないと、送料に負けてしまいます。これをもとに岡田さん、どの程度の客数と客単価を想定しているかといいますと、客数に関しては1日30件。結構多いですよね。
次に客単価ですが、だいたい5000円ぐらいじゃないかと言っています。私はこれに関しては逆に低いかなと思うんですが、ちょっとねこのあたりの肌感覚も覚えてください。そうすると1日の想定売上高というのは15万円ですね。
ECサイトはって休みないので、1年フル稼働だとこのくらいの金額になりますよということで、最終的には5400万円という数字が出ました。これに対して、ちょっと楽観過ぎますかと岡田さんは言ってますが、中野さんは「いやそんなことはないかなあ」答えてますね。
営業利益の算定
これ1年目の数字であればかなり楽観的です。ただ5年目であれば無難な数字です。では5年後の売上高は5400万円としましょうと。これ今回は売上から計算していますが、実は利益から計算した方が楽です。楽ですけどもそれはあくまでもセオリーとは逆ですので、今回は売上から計算していきます。
粗利益に関してはどれくらいいきそうかというと、既存事業の粗利益率と比較して、新事業はBtoC、つまり一般消費者向けですので、平均単価が上がる分だけ粗利益も上がりそうですね。だいたい40%は行くんじゃないかという想定ですね。
そうすると5年後の粗利益は2160万円です。そこから固定費がかかりますが、今回の新事業は今の事業の施設を人を活用できますので、ここは抑えることができる。そうすると、減価償却とかも試算して最終的には営業利益で5年後に950万円という試算が出ました。
これはECサイトのみの数字なので、ここから直売の売上高も計算していかなければいけません。今回それも計算して計画ができたと、ここで仮定しておきます。さあ、この計画をもとに次は投資回収期間を計算していきます。
投資回収期間
投資回収期間は、キャッシュフローにより計算を行います。実際にはキャッシュフローを算定するのは難しいので、今回は簡易的に営業利益と減価償却費、このプラスの合計値で計算します。この簡易的な計算式で算出した結果どうなるかというと、投資回収期間が11年と出ました。
さあこれ長いか短いかですが、肌感覚としてどうでしょう? 私は長いと思います。やはり10年超えるとなると、リスクも高くなってしまいます。なのでそこはなるべく短い方がいいです。ということで、もう一度五箇年計画から計算し直しということになります。
まとめ
ここで今日の漫画は終わりますが、まとめに入ります。まず収益計画に関しては、資金調達、投資回収期間、5ヶ年計画、この三つがとても重要だということを覚えてください。そして、ビジネスモデルによって収益計画というのは、フォーマットが存在します。
だいたいですねその業種などにより、粗利や固定費の予想値を踏まえた雛形があります。戦略ラボでも、この雛形はどんどん増やしていきます。なので、その雛形、つまりテンプレートのようなものにただ書くだけである程度の収益計画が出るようになります。
そんなところも踏まえながら、成功の鍵となる数値を念頭に置いて、5ヶ年計画を作ってみてください。そして5ヶ年計画のポイントですが、当然新事業なので、収益の予想はあくまでも概算値です。概算値ですので、事業が始まったらそこにいかに近づけていくかという努力が必要です。もし1年後2年後、当初立てた計画よりも大幅に下回っているのであれば、何かしらの原因があるというわけですよね。
その原因が改善できないのであれば、どこかで撤退するというですね判断も必要となります。なので最初にこの5ヶ年計画立てたときに、ここまでに利益が出なかったらこれは撤退しようとか、そういう判断基準を持っておいた方がいいかもしれません。
今回は1億2000万円という投資金額ですね。この投資金額に対して「撤退する」という判断はもったいないと思うんですが、もったいないと思って見込みのない事業を続けると、さらに2億3億4億と損失が膨らんでしまう可能性があります。なので、撤退基準を入れていただけると、非常に良い計画になります。
は
まずは必要経費をしっかりと洗い出し、回収可能な売上と利益目標を立てるということが大事です。例えば投資回収期間で10年を切ることができない計画は、ちょっときついんじゃないかなと思います。大きなプロジェクト、または収益が後で乗数的に伸びる事業であれば問題ないんですが、ある程度はこの投資回収期間を短くしていただいた方がいいかなと思います。
いかがでしたでしょうか? 今回は収益計画でしたが、これはこの回だけで終わりではなく、次回もう一度計算し直した収益計画で実際に事業が始まっていきます。最終回ということで、ちょっと思いもよらぬ展開もあります。ぜひ皆さん楽しみにしていてください。
では今日の講座は以上となります。また次の講座でお会いしましょう。
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