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【脱プレイヤーバイブル 第八回】LTVを攻略せよ

皆さんこんにちは、戦略デザインラボ中小企業診断士の岡本です。今日は「LTVを攻略せよ」。LTV、すなわちライフタイムバリューですが、1人のお客様が生涯を通じて自社に支払っていただくお金の総額ですね。これを今日は具体的に、どのように高めていくかというのを中心に解説します。

LTVのおさらい

では漫画の解説に進みましょう。前回、常連客Aさんが今までは6000円での単価で、2ヶ月に1回利用してくださいました。すると12ヶ月で3万6000円をBe Freeにお支払いいただいたことになります。このAさんに対し、トリートメントを勧める、来店頻度の回数を増やす施策を行う。そうすると、売上が3.2倍になるというお話をしました。
そして、利益は3.2倍ではなく約6倍になる。厳密には仕入れコストとかもありますので若干下がりますが、利益は単純に売上と同じ倍率にはならないという説明をしました。これは主に来店回数が増えると同時に、客単価が上がって粗利益が増えるからですね。このため、売上は3.2倍ですが、利益はそれ以上に増えるというお話をしました。

LTVは、「客単価」と「購買回数」の掛け算によって高めることができます。これを覚えていないと、LTVを高める施策を上手く実施することができません。ですので、まずはこの式を覚えてください。
そうすると、売上が増えるのと同時に利益も増える。中小企業にとってこの状態は理想的ですよね。その理想的な状態を作るために「LTVを高める」ということですね。そして、LTVを高めるには必ず先に既存客、そして後で新規客です。
なぜ先に既存客か、覚えていますか? 新規のお客様を獲得するコストがとても高いからですね、高いということは、販管費が増えてしまい利益が圧迫されるということですね。
ですので、必ず先に既存のお客様へアプローチする。これが鉄則となります。

LTVの具体策

そしてカットさんが、LTVを高める施策についていろいろ考えていますね。まずメニューを見直します、トリートメントを基本料金に入れて8,000円にしてみようか、など。
ここでは単純に8,000円としていますが、これも厳密にはもう少し考える必要があります。ちゃんと利益が出るかどうかを、マーケティングの視点だけではなく会計の視点も入れながら考えなければいけません。

それから購買回数を増やしてもらうためのスタンプカードですね。今だとLINEなどでこのような機能があります。そのほかにもアプリなどありますので、デジタルを活用した施策をいろいろ打てるかと思います。
さらに5回来てもらったらトリートメントをプレゼント。これも結構ベタではありますが、かなり効果的ですね。プレゼントされたものを使ってみて、気に入ったら今度は買ってくれる可能性もありますから。

このようなことを考えていたら、麻生さんがカットさんに向けて「経営者としての自覚が出てきたよね」と言っています。基本的に、会計とマーケティングの知識を合わせて実践につなげると、利益を生み出す仕組みはどんどん出来上がっていきます。ですが、マーケティング、そして会計、これらは中小企業にとって非常に弱い部分でもあります。弱いのであれば、そこを補うことができれば、当然売上や利益は増えていきます。
ここの最後で「あとは組織を巻き込めるかどうかね」と麻生さんがつぶやいています。実はこれがねすごく大変なんです。ここは次の講座で説明しますが、自己管理の講座で「感情と理性」を学んだのは覚えていますか? まだ受講していない方はぜひ受講してください。
新しいことをやろうとすると、経営者と従業員で温度差があります。そこをどう埋めていくかは次回の講座で解説いたします。

利益の受け皿

では今日のまとめに入ります。まず、利益の受け皿をつくるということですね。単に売上を増やすための施策をやっても、一過性で終わってしまうということですね。また、利益がなかなか出ないで忙しくなってしまう。そんなパターンに陥ることもあります。
なので、必ず利益の受け皿をつくることは意識してください。そのためにLTVを高めていくための施策を行う、ということですね。LTVというのは、客単価と購買回数です。これは絶対に覚えてください。
これを覚えていないと、何か施策をやろうといったときに、これは果たして客単価と購買回数を増やす施策になっているかどうかが検証できませんので、必ずこの視点を持ってください。

次に、LTVを高めるメリットを少しお話します。いろいろありますが、販管費をかけずに施策のPDCAが実行できる、これが一番大きいですね。これはどういうことかといいますと、広告やキャンペーンなどをやらずに、既存のお客様に対して新しい商品や新しいサービスを試験的に提供することができます。お客様がその商品サービスに価格以上の価値を感じ、継続して利用してくださるかどうかを検証できるんですね。
そうすると、PlanDoCheckAdjustの流れを回すことができます。このPDCAを販管費をさほどかけずに試すことができる、回すことができる、これが非常に大きいです。

そして、利益構造の見直しになる。利益の受け皿をつくるということは、それだけ利益体質になるということですので、特に売上体質の企業にとってはとても有効です。この利益体質を念頭に置き、利益構造を見直していくきっかけにもなります。

最後、顧客体験に寄り添ったサービスを考えられる。LTVを高めるには、顧客とコミュニケーションを取ることがとても大事です。顧客体験、例えばお客様が本当にこの商品を買って良かった、このサービスを利用してよかった、そんな体験を提供する必要があります。今回武田が顧客体験として味わったのは、髪がツヤツヤサラサラなるという体験でしたね。
こうような顧客体験を考えることができると、サービス業だけでなく、製造業でもお客様に寄り添ったサービスを打ち出すことができます。サービス業以外の業種であっても、このような顧客体験は重要です。
他にも顧客体験として、手間を省くというのもあります。Amazonのワンクリック注文がまさにそれですね、そういったお客様の視点に立って、頼んでよかったという思えるような顧客体験を意識してみてください。

LTVを最大化するために

そしてLTVを最大化するには、今日もここまで施策が出てきましたが、どんなことをやればいいのか簡単に紹介します。まずは1人あたりの単価を高めるということですね。
具体的にはセット売りが代表例です。このシャンプーを買うならこのトリートメントもお勧めです、私も使っていますがとても髪がツヤツヤしますよ、などですね。
それからアップセル。例えばヘッドスパのサービスに、プレミアムコースを追加したのでやってみませんか? 極上の心地よさですよ、などですね。

もう一つ、1人当たりの来店回数を高めるのも重要ですね。これはコミュニケーションという部分が大きいです。最近、サブスクリプションの会員制度などが流行ってますよね。これもちゃんとサブスクリプションにする目的を持ち、利益が出る体質にしてお客様の価値となるようなものを提供していかなければいけません。ですが、サブスクリプションや会員制は月額で売上が入ってきますので、利益体質になりやすいサービスでもあります。
ただ、月額制は顧客とのコミュニケーションを重視しないとなかなか上手くいかないことも覚えてください。単価と来店回数は、客単価の分解式ですね、平均商品単価と来店回数です。このような視点も一つのフレームとなりますので、しっかりですね覚えてください。

会計×マーケティング

そして最後に、会計とマーケティングですね、先ほども少しお話しましたが、この会計の視点とマーケティングの視点、両方持っていないと上手くいかないんです。
なぜかというと、例えばマーケティングで、こんなサービスを今度やってみよう、だけどそれがどのくらい利益が出て、どのくらいその売上が増えるかが分からなければ、当然検証しようがないです。ですので、必ず会計の視点が必要です。
逆に会計の視点だけ持っていても、利益を増やすためにはどうやって施策を考えていければ良いかわかりません。マーケティングの視点がないと実行できないということです。よって、会計とマーケティング、この二つの視点だけは覚えておいてください。

最後の説明ですが、定量分析とポジショニング発想を身につける。PEST分析、3C分析、SWOT分析などは、定量分析の部分が多いですね。そしてポジショニング発想は、そこから分析して、自社はどうやって競争を避け、独自のポジションを取っていくかという考えですね。

この視点が中小企業にとって弱い、つまり抜け落ちてるところですので、必ずポジショニング発想は身につけてください。そして会計とマーケティングの知識を活用すると、利益の土台が出来上がります。ぜひこの流れを覚えておいてください。

この上級コースの「脱プレイヤー」という講座は、プレイヤーを脱却するために自社の良い流れ、良い基盤を構築するための講座でもあります。次は組織の落とし込み方ですが、今までの流れを組織へどう落とし込んでいくか、そのあたりも意識してみてください。

本日の講座は以上となります。次回はここまでの施策をいかに組織に落とし込むか、いかに組織を動かすか、ということを学んでいきます。実はここ、とても難しいです。なぜ難しいかということも説明しながら、その解決策を一緒に学んでいきたいと思います。

では次の講座でまたお会いしましょう。

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脱プレイヤーバイブル

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