【新規事業の教科書 第一回】新規事業を考える

皆さんこんにちは、戦略デザインラボ中小企業診断士の岡本です。さて、今日は「新規事業を考える」。皆さんはどうですか? 新規事業を考えたことありますか?
今の事業で経営を続けていくということも当然大事ですよね。ただ、これから日本は人口が減っていく、そして世界中でも不確実な時代なんてよく言われますけども、とても先が見通せない時代になっています。

そんな中で、今の既存事業、これだけに固執していると、業界がもしかしたら縮小していった時に手遅れになってしまう可能性がありますよね。ですので、新規事業というものはどの企業であっても、どの事業者であっても、たとえ個人事業主の方であっても、考えていかなければならない時代です。

だけど、新規事業はどうやって考えればいいの? といったお悩みを私もよく耳にします。そこで今日はこの新規事業を題材にして、どうやって新規事業を組み立てていけばよいかを全10回の講座でお話します。最初はいわゆる導入部分が多いですが、分かりやすくゆっくり解説を加えていきますのでよろしくお願いします。

新事業を考えるタイミング

乾杯!というシーンから漫画は始まっています。中小企業診断士の中野さんという女性が友人たちとお酒を飲んでいます。そこに電話が来ました。誰かが中野さんに何かお願い事をしているようですね。
そしてここからが本編ですが、山野辺食品という会社の社長である山野辺繁さんが、何かPCとにらめっこして考えています。何を考えていたか気になるところですが、そこに岡田さんという部長の方が来ました。社長が岡田さんに話していますが、業績、例えば今は良いとしても、今後業界そのものが停滞・縮小した場合、とても危ないことになるのではないかと考えているようです。

これ結構大事なことです。売上が伸びているんだけど利益がなかなか出ないなぁ…と感じ始めたら、すぐにこういったことを考えていかないと対応が間に合わなくなってしまう。手遅れになってしまうということがあります。
そのような経緯で、社長である山野辺さんも「今のうちに考えなければ」ということで、ちょっと悩んでいるようです。

だけど、社内に新しいことができる人材、つまり経営人材がいない。さあどうしよう…というところで、先ほどの中野さんが登場しました。

山野辺さんが呼んだようですね。何をお願いしたかというと、新規事業のプロジェクトを岡田さんとお願いしたいということでした。ここから新規事業をどんどん考えていくきっかけとなります。
岡田さんが抜擢されましたが、これ結構重要なんですよ。社長が全部やるのもいいのですが、ある程度は自社の社員を巻き込んでいかないと、その後が続かないです。人が育たない、続かない。結局新事業は社長だけが力を入れ、他の社員はどこ吹く風になってしまいますので、岡田さんを巻き込んだシーンはとても重要な部分です。

目標から決める

そして実際に新事業の計画等をいろいろ考えていきますが、まずは左上のカットをご覧ください。将来の目標設定について、御社が5年後どうなっていたいかという青写真、まずこれを描いていきます。

目標がないと、どうすればいいか分からなくなってしまうので、必ず新事業を検討する際には目標を先に決めてください。その次に事業計画の内容ですが、これだけ多くのことを決めていきます。ちゃんと決めていかないと、ちゃんとした事業計画にならないです。ならないとなると、折角の計画が意味の無いものになるので、これはしっかり決めていきましょうということです。

ただこれも別に難しくはないです。ちゃんとわかりやすく説明していきますのでご安心ください。事業計画が出来上がったら、計画に沿って行動に移す。行動に移すという部分も重要ですが、今回は計画を立てるところまでを解説します。

地域・お客様・従業員の視点

まずは御社の5年後の目標を決めましょうとあります。ここでは「5年後の自社がどうなっていたいか」を考えます。山野辺社長は「売上が増えて利益が増えれば」と言っていますが、それだけではないですよね。
ただそれだけじゃないですよね。必ず経営理念、経営ビジョンの中に地域やお客様の視点は入っていますよね。ですので、ここは必ず5年後の目標の中に地域、お客様、それから社員、そういった視点も入れていかないといけません。

山野辺さんもそれに気づきました。そこで改めて5年後の目標を決めてみました。さてどうなりましたかというと、5年後のあるべき姿は売上高20%プラス、営業利益は過去最高益、その後、従業員平均給与の給与平均額プラス10%、最後に地域貢献の取り組みを二つを行う。
この目標設定が結構重要なのです。これがないと社員の巻き込み力がなくなってしまいますので、必ずこういった視点を持ってみてください。中野さんも「とても良いと思います」ということで漫画は終わりました。


では今日の解説に進みます。まず新規事業の始め方、これは皆さん悩むと思います。悩むからこそ、業績が悪化してからでは遅いんです。実際、私もいろんな会社の事業計画を支援していますが、経営が悪化してから考える方と悪化する前に考える方がいらっしゃいます。
悪化してからですと、新規事業のスタートがとても大変です。ご存知かもしれませんが、経営が少し悪くなってきてから借り入れをお願いする、例えば銀行さんなどにお願いするわけですが、そうすると融資が下りるまでに審査が厳しくなることがあります。

例えばコロナ禍の状況下では融資はすごく緩かったのですが、普段の融資は意外と厳しいです。例えば補助金を使って新事業をやろうとしても、その補助金では賄えない自己負担の部分、これを銀行さんが貸してくれるかどうかというと、やはり経営が悪化してからではハードルが高くなります。
ですのでなるべく余裕があるときに新たな事業を考える、そして余裕がなくなった際に新規事業を考える場合は、特にこの資金繰り、つまりお金のところだけはしっかりと交渉してください。
理想を言えば売上が増えている、または利益がそこそこ出ているときに新事業をやるのが理想です。

そして目標を決める。先ほどもここは重視しましたが、先に目標を決めないと、例えば先に事業計画を作った場合、目標が後付けになっちゃうんですね。事業計画ありきの目標になってしまいますので、そうするとやることが逆になってしまいます。
事業計画を先に書いてそれが目的になってしまうのではなくて、必ず「5年後にどうなりたいか」というところを定めてから事業計画を作る。この順番を間違えてしまうと、事業計画がとてもぼやけてしまいます。そして5年後の目標もぼやけてしまいますので、必ず目標から逆算してください。

この「目標から逆算する」という部分ですが、当社、つまり戦略デザインラボでも必ず3年後や5年後に「どうなりたいか」というところから逆算し、1年・2年・3年と計画を決めています。ですので、必ず目標は先に決めるということを今日は覚えてください。

いかがでしたか。新事業を考えるのは、まず何をやれば良いのかとても迷うところでもあります。ただ、やり方をしっかり覚えていけばそこまで難しくありません。そして、そのやり方を講座ではしっかり伝えていきますので、わからなかった部分は何回か見直していただいて、しっかりと知識として定着させてください。

この後はいろんなフレームワークが出てきます。それもどういうフレームなのか、どういうことを言っているのか、どのような場合に使うのか、ということをしっかりと理解し、繰り返し学んでいただければと思います。

では次の講座でまたお会いしましょう。

新規事業の教科書

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