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【脱プレイヤーバイブル 第六回】既存客とLTV

皆さんこんにちは、戦略デザインラボ中小企業診断士の岡本です。今日は「既存客とLTV」。前回は「武田さんを増やせばいいんじゃないか」とカットさんが気づき、戦略の方向性が固まりましたが、今回は既存のお客様をつかむのがなぜ重要か? ということを、皆さんと一緒に学んでいきたいと思います。

中小企業の競争戦略

では早速、漫画の解説に進みます。カットさんが「利益を生み出すためにやるべきことが分かりました」と言い、客単価を上げればいいんじゃないでしょうかと麻生さんに伝えています。これは結構シンプルではありまですが、利益ベースというのは大事ですので、客単価を上げるという施策を中心にやっていくということですね。

ここで麻生さん、値段を上げてもお客さんがついてこなかったら意味がないと言っています。しかし今回はそれをクリアできそうですねと付け加えています。それはなぜかというと、既に「武田さん」という商品サービスに満足しているお客様がいますので、つまり客単価を上げてもついてくるお客様がそこにいますので、単価を上げても新しくお客様を獲得できるだろう。ということですね。

そして下にいくとフレームワークが出てきました。これは有名な「ポーターの競争戦略」ですが、要は対象とお客様の範囲=市場の範囲、それから優位性=自社の優位性の軸をもとに、戦略を分類していきます。
今回は右下の「差別化集中戦略」ですね。いわゆる狭いターゲット=狭い市場のお客様に対し、自社の優位性を生かして差別化を図っていく。要は自社のケイパビリティを活かし、ポジショニングで差別化すると言い換えることもできます。この差別化集中戦略は、中小企業にとって本当に王道です。ですが実際は左下の「コスト集中戦略」も非常に魅力的です。この戦略が成功するライバルはいなくなります。ただ、このコスト集中戦略はとても難しいので、王道ではないです。
今回は差別化集中戦略を採用したということですね。

次はマーケティングミックス。前回やりましたよね、4Cの視点と4品の視点で各具体策を決めていく。今回のカットさんは、製品の価値とコストをセットで変えようとしています。
製品については、4Pだとプロダクト、4Cだとカスタマーバリュー。つまり顧客にとって価値が高い商品サービスです。次に価格。4Pだとプライス、4Cだとカスタマーコストですね。お客様がその価格に対して価値を認め、支払っても良いかという視点です。

既存客へのアプローチ

さてここでカットさん、売上思考に陥っているのかクーポンを発行したり広告をやったりと言っております。次回の講座でやりますけども、売上思考はとても危険です。麻生さんが言っているように、先に既存客にアプローチし、後で新規客にアプローチする。これが本当に大切です。
これはなぜかというと、既存顧客をリピートに向かわせるコストよりも、新規のお客様を獲得するコストのほうが高いからです。私たちの業界では「5倍以上のコストになる」と言われております。これはデータとして示されていないので定かではありませんが、ただ私の経験上も新規のお客様獲得は本当にコストがかかり、大変です。

ですので、まずは既存のお客様からアプローチしていくということが重要です。クーポンを発行したり、広告をやったりということよりも、既存のお客様に向けてのアナウンを行う。「こんなお客様のお悩みに向けた新サービスを始めました」というアナウンスを、メールマガジンなりLINEなり店舗なりでやっていくということが必要です。
しかしカットさんも食い下がり、売上を作らないと利益が出ないんじゃないかと言っています。そこで麻生さんは「LTV」という考えについて触れています。これはライフタイムバリューと呼ばれ、お客様が自社に支払ってくれるお金の総額を指します。このLTVを重視するために既存のお客様にまずはアプローチするわけですが、そこは次回の講座でやっていきたいと思います。

客単価を上げる

では今日のまとめを解説します。まずは売上ベースで考えず、必ず利益ベースで考えるということです。私はセミナーや収益計画の作成に必ず伝えていることですが、利益ベースで考えないと必ず行き詰まります。
まず利益について考え、これぐらい欲しいなと思う利益からまず書いていき、最後に売上を書いてくださいと私は伝えています。利益ベースというのはとても大事なんですが、これも次回の講座でやりますので、まずは利益を生み出すためにどうすればいいかですね。

例えば利益を生み出すには、今回のように武田さんを増やしていくという戦略が有効です。トリートメントサービスをもっと多くの既存客に使ってもらい、武田さんみたいなお客様を増やしていくという方法です。トリートメントをやると、当然客単価は増えますよね。
客単価を上げるメリットは、何よりも利益が増えるということ。ですが、もっと大事なのは集客への投資にリターンが見合うこと。既存のお客様に対しても何かしらの集客方法は使いますが、それは新規のお客様に使うよりも圧倒的にコストは低い、ということは先ほどお伝えしました。

コストが低いということは、それだけ売上が立ったときに利益が増えるということですね。そして客単価が上がれば原価率が下がり、粗利益率が上がります。つまり利益率が高まるということです。逆に客単価を上げるデメリットと心理的なハードルですが、まず価格以上の価値がないと既存のお客様が離れてしまうというデメリットがあります。当然のことですが、これって実はマーケティング主導で経営を行うとよくやってしまうんですよ。ですので、客単価を上げたら必ず商品サービスの品質向上もセットで考えてください。

そして値段を上げることへの心理的なハードル。前回もお話さしたが、自社に価格の決定権がないと、価格を上げるということはとても難しいです。ですので必ず。価格の決定権を持てるような商品サービスを持つというのが、経営にとってとても大事です。次回以降の講座でも話しますが、やはり値上げは心理的なハードルが高いです。
高いからこそ、ちゃんとした理由が必要です。そしてちゃんとした目標が必要です。

マーケティングミックスを見直す

そして次のスライドでマーケティングミックスが出てきました。先ほどもちょっとお話に出てきましたが、今回は利益を増やすためにカットさんが何をしたかというと、プロダクト・プライス、カスタマーバリュー・コストを変えようとしています。そうすると、まずは利益を生み出す仕組みを見直すことができますね。
しかし、当当然これだけでは何もなりません。お客様に「伝わる」ように伝えないといけない。つまり、プライス・コンビニエンス、立地や利便性を再考する必要がある。それから、プロモーション・コミュニケーションを具体的に考えていく必要がある。
実際は4Cの視点から4Pに落とし込むと上手くいくので、まず4Cの視点で施策を考えてみてください。そこから4Pで具体策に落としていきます。このマーケティングミックスは「売上・利益」の、特に利益の部分でとても重要になりますので、必ず覚えておいてください。

成功事例とコミュニケーション

そして最後に、「既存客で成功例を作る」。武田さんが今回の成功事例ですよね。お店としては武田さんがいたからこそ、こういったサービスやってみたらどうかという話になりました。
なので、新しいことをやるというときには必ず成功事例というものを作ってください。その成功事例を作ったら、そのお客様からアンケートなり感想なりをいただいてください。それをチラシに載せる、ホームページに載せる、SNSで流す、または既存のお客様に対して何か提案する際の資料とする。そういったことをやらないと、本当に自分にとって必要なサービスかどうか分かりませんので、必ず成功事例を作ったら、そのフィードバックをいただいてください。
これが4Cの「コミュニケーション」で広げるというところに繋がっていきます。

以上で今日の講座は終わりますが、ちょっと補足します。既存顧客について、皆さんリストとしてまとめていますか? そして、そこからお客様リストに対してアプローチをしていますか? あまりアプローチしすぎると鬱陶しがられますので、1ヶ月に1回、2ヶ月に1回、その程度でも構いませんので、必ず既存のお客様とコミュニケーションを取ってください。
こうしないと、次に繋がらない、リピートに繋がらないということで、LTVを高めるためには継続的なコミュニケーションを取っていくことが大事です。
必ず既存のお客様のリストを集め、そのリストに対して継続的にコミュニケーションを取っていく。そのような土台がないと、新しい商品サービスというものを提案しても、なかなか利益に繋がりませんので、ぜひその点も覚えておいてください。

ではまた次の講座でお会いしましょう。

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