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【中小企業の成功事例】連携により利益を増加させた水産加工会社

こんにちは、戦略ラボ統括講師の岡本です。
今回は「中小企業の成功事例」でも、特に重要な「連携」を行った事業者の事例を紹介します。

1. 「売上増加」と「費用削減」の事例(宮城県女川町 有限会社マルキチ阿部商店)

コロナ禍の影響で影響で売上が減少している…
海外情勢の影響でコストが増加している…

まさに今、中小企業にとっては正念場の経営環境が続きます。
一部の業界ではリーマンショック以上の影響があるでしょう。
なぜなら、リーマンショックの時はここまでのコスト高は無かったからです。

そんな八方塞がりとも言える状況の中、先手を打って地域事業者と連携を図った企業があります。
それが宮城県女川町の有限会社マルキチ阿部商店さんです。

※「2021年版 中小企業白書・小規模企業白書より引用」

マルキチ阿部商店さんは水産加工業を営んでおり、駅前の商業施設で直営の物販店も展開していました。
水産加工だけでは利益率が伸びないため、直営店を構えることで自社オリジナル商品を直接消費者にお届けする。
これは中小企業にとって王道の戦略とも言えるでしょう。

しかし新型コロナウイルス感染症の影響で状況は一変しました。
2020年3月から直営店の売上が急減し、5月の緊急事態宣言下では大きな売上の減少に見舞われたようです。
この時期は飲食店も含め、サービス業の多くが大きな打撃を受けました。
出口が見えぬ暗いトンネルに差し掛かったようで、日本全体が自粛ムードとなりました。

しかしマルキチ阿部商店さんの動きは非常に素早かったです。
何と、5月には地元の同業者である株式会社鮮冷さんと業務提携契約を結んだのです。

私もこの事例を読んだ時、とても驚きました。
5月はまだ多くの事業者が今後どうするかと悩んでおり、このままの事業を続けるか、それとも事業を大きく転換するかの判断すら難しかったと記憶しています。
それが緊急事態宣言中の5月に業務提携契約を結び、事業戦略を大きく転換したことは、まさに中小企業ならではの素早い動きと言えるでしょう。

では、マルキチ阿部商店さんは鮮冷さんと提携して何を行なったのでしょうか。
それは、「販路拡大」と「経営効率化」です。

中小企業の戦略ラボで学んでいる方は、ここでピンときたでしょう。
そうです、販路拡大はすなわち売上増加の施策、経営効率化はすなわちコスト削減の施策です。
つまりマルキチ阿部商店さんは鮮冷さんと業務提携することで、利益=売上−費用の「売上増加」と「費用削減」を同時に達成しようとしたのです。

では実際にどのようにして売上増加とコスト削減を目指したのか、詳しく見ていきましょう。

2. 業務提携による「売上増加」と「費用削減」のポイント

まず売上増加の施策ですが、これに関してはそれぞれの業務において「お互いの商品・サービスを紹介し合った」ということが大きなポイントです。
例えば営業時にお互いのパンフレットを持ち寄り、顧客に向けて提携先の商品・サービスも紹介したということです。
これは同業者同士の提携では難しいと思うかもしれませんが、実はそうではありません。

お客様の悩みを解決する際に、一つの商品・サービスで全てが解決できるわけではありません。
例えば私の仕事だと、経営改善を行う場合にも「コンサルティング」のほか、「WEB制作」や「人事制度の見直し」なども依頼されることがあります。
となると、それぞれの依頼内容について得意な方と提携して契約を獲得すれば、自身の悩みがワンストップで解決するお客様は満足度が大きく高まります。

このように、同業者であっても得意な業務まで全て被っていることは多くありません。
つまり、同業者と業務提携しても販路拡大につながることは十分にある、と言えます。

そして次に費用削減の施策ですが、マルキチ阿部商店さんは鮮冷さんから「原材料の一括仕入れ」を行いました。
仕入れ先が少なければ少ないほど、仕入れコストは下がります。
しかし逆に、仕入れ先を絞り込むと自社の価格交渉力が下がり、仕入れ元の価格交渉力が上がってしまいます。
つまり、当初は一括仕入れで安くすることができたが、そのうち仕入れの依存によって仕入れ元のほうが発言力が強くなり、立場が逆転してしまうというリスクがあります。

この点についてマルキチ阿部商店さんは、「業務提携契約」という形でリスクを回避したと見られます。
単なるイチ顧客という立場ではなく、業務提携契約を結んでいる大切なパートナーとして一括仕入れを行っている。
そうすると、当然ですが鮮冷さんは他の顧客よりもマルキチ阿部商店さんを優先する必要があります。

通常であればリスクにしかならない「同業者同士の協業」を、業務提携という形でお互い大切なパートナーとして認めた。
だからこそ「売上増加」と「コスト削減」を同時に追求できたのでしょう。
これが今回の事例における大きなポイントです。

3. 業務提携の重要性について

今、日本では需要が横ばいから減少に差し掛かっています。
そのような中で「売上増加」と「コスト削減」を目指していくには、産官学金と連携していくことが必須です。

なぜ連携が必要か。
それは「自社の強みに集中するため」です。

需要が伸びないのであれば、自社の利益率を高めていくことが必要です。
つまり、「売上の伸びが期待できないのであればコストを削減していくしかない」ということですね。
もちろん、業種や市場によっては売上の伸びが期待できることもあります。
しかし一方で、停滞する業界や市場からすぐに転換できないことも多々あります。

すぐに転換できないのであれば、まずは既存の事業を何とかするしかありません。
と同時に、新たな事業の種を見つけていく必要があります。
このような考えのもと、連携を行うという視点が重要です。

このような例がありました。
A社は研究開発型企業であり、複数の特許を保持していました。
しかし営業がとにかく苦手で、製品の魅力を十分に伝えることができず、結果的に失注が続いていました。

その一方で、B社という営業に強い部品加工会社がありました。
しかしB社の自社製品は汎用性の高いものが多く、このため他社との価格競争に晒されていました。

そこでA社とB社は、同じ製造業でありながら連携を行うこととしました。
つまりA社が上流部分に当たる開発を担い、B社が製造と営業を担う形を採用しました。
これが見事に当たり、A社・B社とも売上が回復しただけでなく、自社の強みに集中したことで効率化が図れ、コスト削減にもつながりました。

売上増加とコスト削減を同時に達成するには、自社だけでは限界があります。
その理由は「自社の強みに集中できない」からです。
だからこそ産官学金の連携が必要であり、そして今後は連携が「必要」なだけでなく「必須」となるでしょう。

4. さいごに

もちろん、連携を行うといっても、そうそう良いパートナーとなる事業者さんはいません。
まずは業界の集まりや異業種の勉強会などに積極的に出向き、価値観の合う経営者の方を探してみましょう。
連携に向けた第一歩は、「多くの人に出会うこと」から始まります。

中小企業の戦略ラボでも、交流会を実施しています。
この交流会はとても気軽に参加でき、入退室も自由です。
会員登録前でもゲストとして参加が可能ですので、戦略ラボのトップページから情報を常にチェックしてみてください。

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