【経営のヒント】利益を生み出す会計の逆算思考

経営に最重要なターゲティングに続き、今回は【利益を最大化するには?】というテーマからはじめます。

前回の記事はこちらからご覧ください。

3. 利益を最大化せよ



さて、ターゲットとコンセプト(提供する価値)が定まったら、【利益を最大化する】ことにフォーカスします。

具体的には商品・サービスの価格やメニューの見直しですね。

「値決めは経営」と言われる程、企業の運命を左右する大事なポイントです。

利益の最大化を考える上で絶対的に必要な最低条件があります。

それが【数字で基準をつくる】ことです。

経営者だからといって、誰もが数字に強いとは限りません。

ですが、絶対に数字から逃げないでください。

なぜなら数字なくしてビジネスの成功はないからです。

例え数字がニガテだったとしても、企業の将来のためにも克服して頂きたいと思います。

3-1.数字で基準をつくる



御社は売上や利益の目標をどのように設定しているでしょうか?

特に職人気質の方に多いのが

・ある程度黒字であれば良い
・顧客に喜んでもらってこそ商売

と考える傾向がある点です。

もちろんそれ自体は全く悪くありませんが、ひとつ問題点を指摘すると

✔ 数字で判断できないこと

にあります。

”ある程度黒字”の「ある程度」とはいったいいくらなのでしょうか?

何%の満足で「喜んでもらった」ことのなるのでしょうか?

とくに「ある程度の黒字」というドンブリ勘定では、商売繁盛を仕掛けることはなかなか難しいでしょう。

3-2.利益の五段階


利益はざっくりと五段階に分けられます。

数字で基準を作るためにも、まずはこの【利益の五段階】について理解しましょう。

利益の五段階とは売上高に対して各費用を抜いた

①粗利益
②販売利益
③ベース利益
④営業利益
⑤純利益

という5つの利益の見方を指します。



この内訳は基本中の基本ですから、必ず覚えましょう。

3-3.売り上げ目標の決め方


さて、利益の考え方がわかるだけでは基準は作れません。

経営が上手くいっているかどうかはシンプルに売上高とそれに対する利益がどれくらいあるのか?ということに直結します。

ですから、まずは

✔ 売り上げ目標
✔ 利益目標

を明確にしましょう。

売上・利益の目標の決め方は【逆算】すると良いでしょう。



1.営業利益の出し方

営業利益の約半分は税金として納付することになりますから、残った純利益が返済と貯金に回ります。

ですから、営業利益の目標は【返済+貯金】の2倍の額に設定します。

2.ベース利益の出し方

この金額に光熱費や家賃などの人件費を抜いた固定費をプラスすると、ベース利益が出ます。

3.販売利益の出し方

ベース利益に人件費をプラスすると、販売利益となります。

4.粗利の出し方

販売利益に広告費等の経費である販促費をプラスすると粗利が出ます。

5.売り上げ目標の出し方

粗利に原価分をプラスすると売上高、すなわち売り上げ目標が出る

という考え方です。

なんとなくの

「利益は大体このくらい欲しいから売上は大体このくらいかな・・」

というドンブリ勘定ではなく、全てリアルな数字をもとに、リアルな利益・売上目標を出すことができるのです。

この考え方のポイントは

✔ 費用の比率をハッキリさせる

点です。

企業によって多少は異なるでしょうが、まずは前年度に実際にかかった費用を元に、その年の特別なイベントなどを考慮して算出すると良いかもしれませんね。

3-4.原価率のコントロール



商売に原価コントロールはつきものです。

費用の比率をはっきりさせることがポイントであると上述しましたが、御社の売上に対する原価率は何%程でしょうか?

どんな経営者も、なるべく原価を押さえて営業利益を確保したいと考えていることでしょう。

例えば上図のそば屋の場合、原価率を30%に押さえると営業利益が約25%確保できるという計算となります。

この数字を達成するために現状の数字を分析した上で、原価率を下げて売上を上げられるような経営施策を施していくわけですね。

3-5.売上を伸ばし、費用を下げる



売上を伸ばす施策としては

①平均単価を高める
利益率の高い商品への動線設計
→目立つ写真や店長オススメ商品を高い商品に設定

②買上点数を増やす
ついで買い・ついで利用の誘発
→セット商品開発や注文点数に紐づくキャンペーンなど

といった施策が考えられます。

一方、費用を下げる施策としては

①変動費を減らす
・サービスの質に直結する費用は投資と考える
・業務フローのムダや効果の見えない広告は削減する

②固定費を減らす
・業務の生産性に直結する費用は投資と考える
・代替可能で生産性が変わらないものは削減する

といった施策が考えられます。

どちらも実際の数字を確認して、どれほどの比率を占めているのか?という判断を下してください。

あくまでも数字で基準をつくることを前提としましょう。

3-6.粗利ミックス作戦



原価率を下げて利益率を上げる為の施策の代表例に【粗利ミックス作戦】というものがあります。

粗利ミックス作戦とは、簡単に言えば原価が低い商品と高い商品をうまく組み合わせることで、最終的に一定額の粗利益を確保・向上する販売戦略です。

例えば

▼寿司屋

高級マグロ(原価高) ← 客寄せ商品
おつまみや酒(原価低) ← 稼ぎ頭
⇒ 目標の粗利率を確保 + マグロを安く売ることができる

▼ドラッグストア

食品や広告品(原価率高) ← 客寄せ商品
医薬品や化粧品(原価率低) ← 稼ぎ頭
⇒ 目標の粗利率を確保 + 広告品を安く売ることができる

という事例がたくさんあります。

主に店舗型のビジネスでよく導入されますが、オンラインショップなどでも工夫次第で取り入れることが可能でしょう。

4.努力と工夫の繰り返し



繁盛店には繁盛する理由が必ずあります。

経営を改善させるために

✔ 数字で基準をつくる
✔ 上手くいっている競合他社を研究し、自社でも取り入れる

といった努力と工夫を継続することを最低基準としましょう。

その上で仮説と検証を細かく繰り返していくのです。

もちろん数字で記録を取り、数字で検証します。

「1の大きな成功の裏には100の小さな失敗がある」というくらいの姿勢で臨むと良いと思います。

4-1.コミュニケーションの質と量にこだわる


マーケティングの章で触れましたが、御社がターゲットと接点を結ぶきっかけとなる「コミュニケーション」の量と質にはこだわってください。


ある人は広告を見て、ある人はネットでHPを見て御社のことを知るかもしれません。

御社がどんなに良い商品・サービスを作っても、知ってもらえなければ絶対に売れません。

しっかりターゲットの目に届く量で、ターゲットが魅力的に感じるようなクオリティのコミュニケーションをしっかりとプランニングすることは、非常に重要なのです。

またこれは販促費用となり、将来への投資となります。

しっかりと数字に組み込んで、いち経営施策として仮説検証の対象とすると良いでしょう。

5.さいごに

経営でやるべきことは至ってシンプルですが、現実には幾多の困難があります。

それでも

現状把握をし、数字で基準をつくり、目標を立て
競合リサーチを踏まえて仮説を立て、施策を繰り返し検証し、
成功例を拾い上げる。

この繰り返しを怠ることがなければ、かならず事業は成長していくことでしょう。

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