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【緊急に備える労務対応 第二回】災害時の安全配慮義務

皆さんこんにちは。カズ社会保険労務士事務所代表の 佐久間かずのり と申します。

前回「 事業継続計画=BCP とは何か?」というお話と、その中で「労務対応が重要ですよ」というお話をさせていただきました。
今回はその中でも「従業員の安全確保」について、会社さん・担当者さんが知っておくべきこと、事前に準備しておくべきことについてお話をさせていただきます。

安全配慮義務

皆さん「安全配慮義務」という言葉を聞いたことがありますか? この安全配慮義務というものが「災害時の労務対応・従業員の安全確保」という部分でキーワードになってきます。
これは会社側に法律上課せられた義務であり「従業員の命や心身の健康を守るために、一定の配慮をしなさいね」という義務になっています。
これが先ほどお伝えしたキーワードになってくるのですが、具体的に見ていきましょう。

「では実際のケースを見ていきましょう」ということで、A県B市にX社があったとします。このX社が所在する地域では「巨大地震が80%の確率で来ますよ」と言われており、その中で最大10mの津波が来るということが、あらかじめハザードマップ等で予想されています。
そんな中でX社は、災害時の避難計画等を一応作っていました。ただ最新の情報は追っていなかったので、地震発生時の避難所を "2階建ての社屋の屋上" 高さ7〜8mに設定していました。付近には5階建てのビルがあり、こういった状況の中で巨大地震が発生してしまいました。

そして実際に起こってしまったときに、社長と担当役員の指示のもと、避難計画に沿った形で労働者の方を避難させました。
実際に予想されていた通り10mの津波が来てしまい、全労働者が津波にさらわれ死亡してしまった・・・そういった事例です。

ここで考えていただきたいのは「X社はどんな対応をすべきだったのか?」「それを踏まえて自社の災害への体制、従業員の安全確保の準備体制を改めて確認しましょう」というところです。

ここで安全配慮義務という言葉に戻りたいと思いますが、先ほどお伝えしたように、会社には従業員に対して安全配慮義務という法律上の義務が課されています。
条文としては非常にシンプルなのですが、ここに書いてある通り「労働者が生命身体等の安全を確保しつつ労働することができるように、会社側が必要な配慮をしなければいけない」とあります。

最新の情報をもとに計画を立てる

この安全配慮義務「会社側がこれに反していますよ」となってしまうポイントは2つあります。
➀ (その労働者の死亡などそういった)事故発生の予見可能性があったかどうか。
② その事故を回避できる余地があったのかどうか。
この2つです。

このケースで見ていくと、まず「事故発生の予見可能性があったかどうか」というところです。元々地震が発生する以前から、自治体等の情報(ハザードマップ等)で、地震が来ること・10mの津波が来ることは分かっていました。
なので ① の予見可能性はあったということになります。 ② の回避できる余地があったかいうところですが、事前にそういった自治体の情報をキャッチし、最新の情報をキャッチして計画を作ったり、リアルタイムの対応ををしっかりとやっていれば、死亡事故は避けられたはずですね。

なのでこのケースでは「会社側は安全配慮義務違反ということになる可能性が大きい」というケースです。
なので、最新の防災情報を把握し、それを踏まえて計画を作り、実践するために避難訓練もやっておくと。「形式的ではなく実践的に使えるようにしておく」というのが非常に重要ですね。

今回の振り返りです。
会社側には安全配慮義務というものがあります。これは会社側が「労働者の方々の生命身体等安全確保して労働できるように配慮する義務」というものです。
このポイントは二つ。①事故発生の予見可能性があったかどうか? ②事故発生を回避できる余地があったのかどうか? がポイントになってきます。

これを踏まえ最新の情報を確認して生かしていきましょう。訓練をしたり、実践的な計画を作っておくということが必要になってきます。

次回は「従業員のリスク共有」についてお話をしていきたいと思います。
それではまた次回でお会いしましょう。

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